初乳から成乳まで母乳は変化するって本当?前乳、後乳とは?後乳にはメリットがたくさん!

「母乳は赤ちゃんに合わせて変わると聞くけど、どう変わるの?」「最後まで母乳を飲ませた方がよいといわれるのはなぜ?」などの疑問を持つこともあると思います。そこで、助産師で杏林大学の准教授である加藤先生に「母乳の変化」について教えて頂きました。

出産を控えて母乳育児を検討している方はもちろん、すでに母乳育児中の方も母乳に関する理解を深めて母乳育児に役立てましょう!

母乳は変化するって本当?

おっぱいを飲む赤ちゃん

母乳には3大栄養素と呼ばれる「炭水化物」「タンパク質」「脂質」が含まれているのはもちろんのこと、ほかにもビタミン、ミネラル、酵素、オリゴ糖など赤ちゃんが成長するのに必要な成分がたくさん含まれています。

出産後、母乳は赤ちゃんの成長に合わせて成分が変化します。出産後、3日から5日まででる母乳を「初乳」といい、産後10日~2週間目あたりから「成乳」へと変化していきますが、成分だけでなく色や質感も変わっていきます。なお、この「初乳」から「成乳」への変化途中の母乳を「移行乳」と呼びます。

関連記事:初乳が赤ちゃんにとって大切な理由と初乳の出を良くするためにできること【助産師が解説】

初乳・移行乳・成乳までの変化や特徴

このように母乳は赤ちゃんの消化や吸収機能に合わせて「初乳→移行乳→成乳」へと成分や味や質感が変化します。それぞれの特徴は次のとおりです。

*初乳(出産後3日~5日に分泌される母乳)

半透明で黄みがかった色をしてどろっとしており、免疫成分が豊富に含まれています。栄養面では、脂肪濃度が低く、タンパク質やビタミンなどの栄養を豊富に含んでいるのが特徴です。

初乳に含まれた免疫成分は、生まれてきた赤ちゃんをウイルスや細菌の侵入から守り、病気にかかりにくくする働きがあります。さらに初乳は腸内環境をよくしたり、黄疸が強く出ることを予防する効果も期待できます。

*移行乳(初乳から成乳への変化の移行期間)

初乳から成乳への準備期間に出る母乳です。免疫成分が減って、脂肪分と糖分が増えます。初乳に比べると色が薄くクリーム色のようになって、さらっとした質感になっていきます。

*成乳(産後10日から2週目以降に分泌される母乳)

タンパク質や免疫成分は減少しますが、糖質がさらに増えて甘みが増し、脂肪分も増えるのでエネルギー量も多くなります。成乳は赤ちゃんの発育を促すのがおもな働きといえるでしょう。また、半透明の白色になってサラサラした質感に変化します。

飲み始めと飲み終わりで脂肪分の含量が変化する

飲み始めの母乳を「前乳」、その後、飲み始めて10分ぐらいしたら出てくる母乳を「後乳」といいます。おもな違いとして、後乳は脂肪分が多く高カロリーであることがあげられます。脂肪分が多く含まれるため、後乳には脳の発達を促したり、赤ちゃんの神経系を成熟させる役割があります。

そのため、赤ちゃんが飲みたがるだけ授乳して、おっぱいに蓄えられた母乳を、脂肪分が豊富な後乳まで飲ませることが大切です。

授乳の早い段階で飲むのをやめてしまうと、赤ちゃんは脂肪分の多い母乳を飲めない場合があります。なかなか体重が増えなくておっぱいも飲めないと悩んでいる場合は、後乳が飲めていないのかもしれません。途中で寝てしまう前に姿勢を変えるなど、赤ちゃんが満足できるように飲める工夫をしてみましょう。

なお、「後乳を全部飲めているか不安」という声も聞きますが、後乳に限らず母乳が飲めていることで、まず安心してください。前乳にも赤ちゃんに必要な栄養は含まれています。授乳時間が短くて赤ちゃんが満足しているということは母乳を十分に飲めているとも考えられます。

もし、授乳がすぐ終わってしまいあきらかに飲めていないようであれば、きっと次の授乳は短い間隔で欲しがり、しっかり飲んでくれることが期待できます。食欲は一定ではないので、一回一回の授乳に一喜一憂するより、1日単位、2日単位といった少し長い目で見ていきましょう。

それでも心配なときは、母乳外来などで助産師にみてもらうとよいですね。乳頭マッサージをして赤ちゃんが吸いつきやすい乳首にしたり、正しい姿勢かチェックしたりして、解決することもあります。

関連情報: 保存した母乳が母乳育児をもっと自由に

まとめ

母乳はこのように赤ちゃんの成長に合わせて変化します。母乳育児で育てたいと思っているママや、現在育児中のママは母乳の成分にも理解を深めておきましょう。前乳と後乳では脂肪分の量、カロリー量が異なるという特徴を考慮して、ママがおっぱいが軽くなったと感じられたり、赤ちゃんの満足した様子が見られるまで、飲んでもらえるとよいですね。

もちろん、おっぱいの状態、赤ちゃんの様子、母乳育児の経過、なども加味する必要があるので、トラブルなどがあれば無理をせず、近くの助産師に相談してみましょう。

【プロフィール】

加藤千晶先生

加藤千晶
杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。

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