「母乳が出ない」「赤ちゃんがおっぱいを飲まない」「乳首に傷ができて痛い」「胸が張って痛い」「ミルクを足す量・減らす量が分からない」など、母乳育児中のママにはおっぱいにまつわる悩みや疑問がありますよね。
そんなときに母乳外来が思い浮かぶものの、病気ではないのに受診できるのかなと思ったり、何を相談できるのか分からなかったりしてはじめの1歩を踏み出せないママは少なくないようです。
そこで今回は母乳外来について、相談できること、費用、受診時の注意点などを杏林大学保健学部看護学科の准教授で助産師教育に携わっている加藤千晶先生に教えていただきました。
●母乳外来とは?
母乳外来は主に助産師が中心となり、母乳育児に関するママのありとあらゆる悩み、疑問、不安などに対してアドバイスやサポートをしてくれるところです。総合病院や産婦人科クリニック、助産院、母乳相談室などで主に行われています。
●母乳外来で相談できることは?
母乳外来で相談できることは多岐にわたります。おっぱい関連のトラブルだけではなく、育児の悩みや不安なども相談できます。
【相談できること】
- ・おっぱいが張って痛みや熱が出ている
- ・乳首に傷や亀裂ができていて、赤ちゃんが吸うときに痛い
- ・おっぱいが出ない
- ・母乳が足りているか不安
- ・ミルクの足し方、減らし方が分からない
- ・赤ちゃんの体重が思うように増えない
- ・母乳の分泌が多すぎて困っている
- ・離乳食を始めるにあたり、授乳の頻度をどうしたらいいのか分からない
- ・仕事復帰後に母乳育児をどのようにしたらいいか分からない
- ・断乳、卒乳の方法やその際のおっぱいのケア
- ・赤ちゃんが泣いてばかりで授乳間隔があけられない
- ・赤ちゃんがおっぱいを飲まなくなった
- ・育児の悩みや不安がある
- ・育児中イライラしてしまったり精神的に不安定になったりしてしまう
- など
このようなさまざまな相談に対し、助産師がアドバイスをします。おっぱいのトラブルであれば、助産師がおっぱいのケアを行ったうえで、ママが自宅でできるセルフケア方法を指導する場合も。
授乳中の相談だけでなく卒乳の際もみてもらえるので、上手に活用して長くお付き合いすると育児がラクになるかもしれません。
●母乳外来にかかる費用
母乳外来は相談を受けてサポートするところであり、病気を治療するところではないため、診察料は保険適用外です。
乳腺炎などで専門医が診察する場合は保険適用内になるなどの例外もありますが、基本的には全額自己負担。施設や内容によって診察料はさまざまですが、相場としては初診が5000円前後、再診が3000円前後です。
乳房マッサージは診察料とは別にかかる場合があります。出産した病院であれば初診料がかからないことも。ホームページなどで最寄りの母乳外来の費用を確認しておきましょう。
●受診するときの注意点
施設により条件は異なりますが、ほとんどの母乳外来が予約制です。施設によっては毎日ではなく決まった曜日のみ受け付けているところもあります。予約をする際に受診する目的や赤ちゃんを連れての受診が可能かどうか、また連れていった方がよいのかどうかを確認しておきましょう。
授乳指導を受ける場合は、実際の授乳の様子を見てもらうために予約時間まで授乳間隔を空けておいてくださいと言われることがあります。受診目的に応じて注意事項が異なるので予約時にしっかり伝えることがポイントです。当日のおおまかな流れや持ち物も確認しておくと安心ですね。
また、予約がいっぱいで診てもらうまでに日数が空いてしまう場合、授乳が続けられる状態であればよいですが、ママに熱があったり、乳房が張ったりしてとてもつらい状況などのときは、必ずその状態も伝えてください。緊急に診てもらうことが必要な場合があります。
●まとめ
母乳外来というとなじみがなく遠い存在と感じる方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。母乳外来はおっぱい関係のトラブルはもちろん、育児全般の悩みなども相談できるママと赤ちゃんの強い味方。
気になることや悩みがあれば、母乳外来を上手に活用してみてください。からだがラクになるだけでなく、心もスッキリして育児がラクになるかもしれません。一人で悩まず、気軽に助産師に相談しましょう。
【プロフィール】
加藤千晶
杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。