生まれてから昼夜の区別なく寝て起きてを繰り返す赤ちゃん・・・、このままどうやって朝起きて夜寝るような睡眠リズムがつくようになるのだろうと不安になるママやパパもいるでしょう。
そこで、赤ちゃんの睡眠リズムを整えるコツについて石戸谷小児科の石戸谷院長に伺いました。
赤ちゃんの眠り
新生児の睡眠時間は、個人差はありますが1日およそ15~20時間です。授乳が終わると眠ってしまうことが多く、1時間~3時間ごとに目を覚まします。月齢が進むにつれてまとまって眠れるようになり、生後3~4ヵ月頃になると昼夜の区別がついてきて夜の睡眠時間が長くなっていきます。
そうして1才になる頃には日中起きている時間がだいぶ長くなり、お昼寝を1回して夜眠るという生活リズムになります。
ただし、睡眠の時間や回数、リズムは十人十色なので、「3ヵ月過ぎたのに夜眠る時間が短い」などと心配する必要はありません。
それぞれの赤ちゃんのペースでだんだんと昼夜の区別がついて、夜の睡眠時間がまとまっていきます。
月齢別にみる睡眠リズムの目安
赤ちゃんの睡眠リズムは成長とともに変化します。
*新生児期
睡眠時間は1日15~20時間ぐらいで、1~2時間の覚醒と1~4時間の睡眠を繰り返し、昼夜の区別はなく生活リズムは定まっていません。この頃は赤ちゃんの睡眠リズムにできるだけあわせてあげましょう。
*生後3ヵ月ごろ
睡眠時間は1日14~15時間ぐらいになり、生活リズムを規則的にするよう心がけていると少しずつ昼夜の区別がついてきます。母乳やミルクの飲む量も増えてくるため、続けて眠る時間がそれぞれ3~4時間と長くなってくるので夜中の授乳が減ってくるでしょう。
*生後6ヵ月ごろ
1日の睡眠時間は13~14時間ぐらい。6~8時間連続して眠るようになり、明るい時間に起きて暗い時間に眠るという昼夜の区別ができる時期です。また、昼寝は1~2回ぐらいに。離乳食が始まるので食事の時間を中心に生活リズムを作っていくとよいでしょう。
なお、6~7ヵ月ごろは夜泣きや寝ぐずりが起こる時期でもあります。乳歯が生えはじめる違和感や、日中に受けた刺激を夢に見て整理しているため、などと言われていますがはっきりした原因は分かっていません。
*1才ごろ
1日の睡眠時間は11~12時間ぐらい。ほぼ夜間に睡眠し、昼寝は1時間半~3時間ぐらいの1回になります。お昼寝は15時頃には切り上げられると良いですね。離乳食が進み、ほとんどの栄養が食べ物で補えるようになってくると授乳回数も減ってくるでしょう。
睡眠リズムを整えるコツ
月齢が低いうちは生活リズムがなく、授乳も眠る時間もバラバラ。しかし、成長とともに昼夜の区別ができるようになって睡眠リズムが整ってくるでしょう。
・起こす時刻と寝かせる時刻を決める。理想は8時就寝!
リズムが少し安定してきたら、同じ時刻に起こし、同じ時刻に寝かせるとさらに生活リズムが規則的になります。なお、就寝時間は8時ごろが理想的。お仕事の都合などで難しい場合は遅くとも9時までに寝かせるようにしましょう。また、お風呂や授乳時間などの寝るまでのスケジュールも習慣にして、離乳食が始まったら離乳食の時間を中心にスケジュールを整えると良いですね。
・「朝は太陽の光を浴びて、昼は明るくにぎやかに、夜は暗く静かに」と生活にメリハリをつける
赤ちゃんが昼夜の区別がつけやすくなるように工夫しましょう。朝起きたときにしっかり太陽の光を浴びると体内時計を正常に働かせることができます。
日中はお散歩を日課にする、抱っこや遊びを取り入れるなど、からだを動かすようにしましょう。夕方からは暗く静かにして、刺激のある遊びなどは避けると良いですね。寝る時は照明を消してできるだけ暗くするのがポイント。夜中の授乳は手元だけ照らして赤ちゃんの目に光が入らないようにしましょう。
・ママも早寝や休息を心がける!
赤ちゃんが眠っている間に少しでもママも一緒に横になったり眠ったりすることが大切です。ですが、ママたちのなかには「眠っている間に家事や帰ってきたパパの食事のお世話をしなくては」などと休息をとらないママもいます。しかし、ママが寝不足になってしまうと母乳のなかのメラトニンという赤ちゃんの睡眠や成長にかかわる大切なホルモンの分泌が減ってしまいます。
パパや家族と家事などは分担し、できるだけ赤ちゃんが寝ているときはママが眠れるような体制を整えておくようにしましょう。
まとめ
月齢が小さいうちは睡眠リズムができていないのでお世話も大変ですよね。だからこそ、生活リズムを整えることが大切です。とはいえ、あまり神経質になる必要はありません。ママやパパが規則正しい生活をすれば、自然と赤ちゃんのリズムも整うでしょう。
また、成長とともに赤ちゃんにもまとまって眠る力がついてきます。
ママは寝不足でストレスをためないように、気分転換をしたり、休息をとったり、家族を頼ったりしながら赤ちゃんのすこやかな成長を見守りましょう。
【プロフィール】
石戸谷尚子
小児科 | 石戸谷小児科 院長
医師、医学博士。1981年徳島大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学小児科入局、都立母子保健院及び慈恵医大付属第3病院勤務を経て1995年現職に。日本小児科学会認定 小児科専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医、日本血液学会認定 血液専門医。