初乳はとくに赤ちゃんにとって大切と聞くものの「初乳ってなに?」「初乳はいつまででるの?」「初乳はどうしたら出るものなの?」などの疑問や不安を感じている妊婦さんは多いのではないでしょうか。
赤ちゃんにとって大切なのであれば、知っておきたいところ。そこで今回は、国際ラクテーションコンサルタントとして母乳育児を支援しているみき母乳相談室の榎本助産師にお話をうかがいました。
初乳が赤ちゃんに大切な理由
初乳は免疫や栄養を多く含んだ、赤ちゃんが生まれてから最初の方に出る母乳のこと。
赤ちゃんにとって初乳が大切な理由は大きく2つあります。ひとつは、初乳には消化しやすいタンパク質が多く含まれていて栄養価が高いこと、ふたつめは、初乳に含まれた免疫成分が、生まれてきた赤ちゃんにウイルスや細菌の侵入するのを防ぎ、病気から守ってくれることです。
さらに初乳はビリルビンの排泄も促進するため、黄疸予防にも役立ちます。また、初乳を飲むと胃の表面に膜をつけるような状態となり、腸内環境を良くする働きもあることも初乳が大切な理由です。
初乳が出るのは出産後~数日間
生まれてから10日位までの母乳を「初乳」といいますが、産じょく5日目ごろから「移行乳」、7日~10日ごろから「成乳」と区分されます。初乳は少しとろみがかかっていてクリーム色をしていますが、成乳になると乳白色でさらっとしてきます。
出産して最初に出る母乳が初乳だと勘違いし、初乳をあげられなかったと落ち込んでしまうママもいますが、10日間ほど出るのであせらずに飲ませ続けてくださいね。
初乳の出を良くするにはどうしたらいいの?
大切なのは、分娩にむけて妊娠中から体調を整えて、母子ともに良い健康状態で出産すること。妊娠中に栄養バランスの良い食事をとる、休息をしっかりとる、ウォーキングやストレッチなど適度な運動を心がけておくと良いですね。
また、出産後30分以内に授乳をすると良いといわれています。これは、分娩直後、母乳の開始と維持に必須のホルモンであるプロラクチンの分泌がピークになるためです。できるだけ早く授乳することによって母乳生成のスイッチが入りやすくなるでしょう。
出産した病院でも赤ちゃんが初乳を飲めるよう助産師が手助けしてくれると思いますが、妊娠中に確認しておくと安心ですね。
なお、最初から母乳がたくさん出る方は少ないですし、初乳が出る量には個人差があります。ですが、初乳は量が少なくても免疫成分やタンパク質などが多いため、赤ちゃんをウイルスなどから守ってくれる効果が期待できます。そのため初乳の量はあまり気にしないようにしましょう。
まとめ
初乳は初回の母乳ではなく、免疫を多く含んだ産後10日間ほど出る母乳のことです。ほんの少しの量でも初乳の効果は期待できるので、量にこだわらずに授乳を続けてみてくださいね。
赤ちゃんがママのおっぱいに吸いつく刺激がママの脳に伝わって母乳が分泌されるようになります。赤ちゃんが泣いたりしておっぱいをほしがるときは、何度でもおっぱいを含ませてみましょう。少しずつおっぱいが出るようになっていきます。
思うように出ないなど、入院中、不安なことや気になることがあれば助産師がサポートするので気軽に相談してくださいね。
【プロフィール】
榎本美紀
2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」