授乳中にカレー、キムチ、牛乳、はちみつなどは食べられる?管理栄養士がQ&Aで回答

授乳中のママたちは、「キムチを食べると母乳に影響するのかしら」「牛乳は避けたほうがアレルギー予防になるの?」「コーヒーは飲んじゃダメ?」など食べ物や飲み物のことで、気になることが多いのではないでしょうか。そこで今回は、授乳中のママたちが気になる食べ物、飲み物について、相模女子大学栄養科学部の堤ちはる教授に聞いてみました。

授乳中の食事の基本

授乳中であっても大切なことは栄養バランスのよい食事をしっかりとることです。栄養バランスのよい食事とは、ごはんなどの「主食」、肉、魚、卵や大豆製品などのたんぱく質を多く含む「主菜」、野菜、きのこや海藻類などを中心とした「副菜」がそろった食事のこと。毎回は難しいかもしれませんが、できるだけ意識してとるようにしましょう。

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よくあるママたちの疑問・悩み

さっそくママたちの疑問に回答していきますね。

Qキムチやカレーなどの辛いものは母乳に影響するの?

キムチ

キムチなどのにおいの強いものを授乳中のママが食べると、母乳のにおいにも変化が生じますが、3時間程度でほとんど消えているといわれています。そのため、授乳と食事時間を考えればあまり気にすることはないでしょう。また、世界にはスパイスを日常的にかなりの量を摂取する国がありますが、多くの子どもたちは問題なく育っています。そこで、味付けの変化を楽しむ程度に香辛料を使用することはとくに問題ないといえます。ただし、キムチなど塩分の多い食品は、食べすぎないように箸休め程度の量にしてください。

Qはちみつを食べても大丈夫?

はちみつ

はちみつにはボツリヌス菌が混入していることがあります。1才未満の赤ちゃんは、はちみつを食べると腸内でボツリヌス菌が増殖して毒素を出すこともあるため、はちみつは与えてはいけません。しかし、健康な大人の腸内では増殖しないため、授乳中のママがはちみつを摂取してもママの体や母乳には問題がないといわれています。

Q牛乳を避けたほうが食物アレルギーを予防できる?

牛乳

以前は赤ちゃんのアレルギー予防のために「妊娠中や授乳中のママは牛乳や卵などの摂取を控えましょう」「離乳食を遅く始めましょう」などといわれていましたが、近年、これらには予防効果がないことが明らかになってきました。厚生労働省も、子どものアレルギー予防にママが特定の食品を極端に避けたり過剰に摂取する必要はなくバランスが大切という趣旨のことを述べています。

また、食物アレルギーの予防には、適切なスキンケアが重要であることも近年明らかになっています。

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新生児期からはじめるスキンケアの役割とは?肌を守るだけでなくアレルギー予防の役割も!

Q生魚(刺身)、生卵、加熱していないチーズは食べてもいい?

刺身

これらの食品には、リステリア菌が混入していることもあるため、妊娠中は免疫力が下がっているので控えると安心といわれています。そこで、産後も気にしている方も多いと思いますが、授乳中のママが食べることは問題ありません。しかし、生ものである以上、リステリア菌以外の菌による食中毒のリスクが全くないわけではありません。体力が落ちているとき、疲れているときなどは免疫力が低下しがちなので、食べるのを避けるか、火を通して食べるなど工夫してリスクを軽減すると安心です。

Qコーヒーは飲んでもいいの?

コーヒー

コーヒーにはカフェインが含まれていますが、1日1~2杯程度の量なら問題ありません。ただし、母乳を介してママが摂取した量のうち約0.06~1.5%が赤ちゃんに移行することが分かっています。赤ちゃんがカフェインを摂取しすぎると興奮して眠れなくなることがありますし、カフェインはSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスク因子でもあります。ノンカフェインのコーヒーを利用するなどしてカフェインの摂り過ぎには注意しましょう。

Qノンアルコール飲料はOK?

ママが飲んだアルコールの約2%が母乳に移行するため、授乳中のママのアルコール摂取は原則禁止です。また、ママがアルコールを飲むことによって母乳の分泌量が減ることがあり、赤ちゃんの成長を妨げてしまう恐れも。どうしても飲みたい場合は、アルコール0%のノンアルコール飲料を利用してみてはいかがでしょうか。ただし、おつまみは塩辛いものや脂っぽいものが多くなりがちなのでそれらの食べ過ぎにならないよう気を付けて。

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まとめ

授乳中、あれは食べていいの、これは食べないほうがいいのなどと気になることがあると思います。たとえば、「ケーキなどの甘いものを食べるとおっぱいが詰まりやすい」などという話を聞くこともあり、おっぱいをあげているママとしては心配になることもありましょう。しかし、ママの体調、おっぱいは一人ひとり違うので、必ずしも当てはまるとは限りません。過剰でなければ食べても問題ないことがほとんどなので、気になる食品があれば、少し食べてみて、おっぱいが張ったり痛みが生じたりするか、自分の体に聞いてみましょう。

いま、人生は100年の時代といわれるようになってきました。授乳期は長い人生のほんの一部の期間ではありますが、母と子にとってはかけがえのないひとときです。授乳期はアルコールなど食事に一部制約がかかるものは注意が必要ですが、基本的には普段の食生活と変わらず過ごせるのであまり神経質になる必要はありません。授乳期を親子が心穏やかに笑顔いっぱいで過ごせるように、ママは日々の食事を楽しんでくださいね。

【プロフィール】

堤ちはる教授

堤ちはる
相模女子大学 栄養科学部健康栄養学科 教授
日本女子大学家政学部食物学科卒業、同大学大学院家政学研究科修士課程修了。東京大学大学院医学系研究科保健学専門課程修士・博士課程修了。保健学博士、管理栄養士。青葉学園短期大学専任講師、助教授、日本子ども家庭総合研究所母子保健研究部栄養担当部長を経て、現職。専門は母子栄養学、保健栄養学。監修書籍に、「あんしん、やさしい最新離乳食オールガイド」(新星出版社、2019)、「食と栄養相談Q&A」(診断と治療社、2018)、「すききらいなんてだいきらい」(少年写真新聞社、2016)など。

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