母乳はその多くが水分でできているので、母乳育児中は今まで以上に意識して小まめに水分補給をしたいもの。だけど、育児に追われていると水分を摂り忘れることや、喉の乾きに気づいて一気に補給してしまうなんてこともあるようです。そこで今回は、オンラインで助産師サロンを運営する高杉絵理さんに、授乳中の水分摂取の目安量や小まめな水分補給のコツ、授乳中におすすめの飲み物、注意点などを教えていただきました。
水分不足が母乳に与える影響とは?
私たち大人の体は60%が水分でできていて、尿や汗、呼吸などを通して1日に約2リットルの水分が排出されています。ママの血液から作られる母乳も、その約88%が水分からできているので、母乳育児中は1日に2リットル+母乳の水分も体外に排出することになります。そのため、水分不足が続くと血液濃度の高い、いわゆる「ドロドロ血液」になって、母乳の質や母乳量にも影響する可能性も。ママの水分摂取量が必ずしも母乳量に直結するわけではありませんが、産後は赤ちゃん中心の生活になって、気づいたら自分の水分補給を忘れていたなんてこともあり得ます。母乳のためにも、授乳が始まったら今まで以上に小まめに水分を補給しましょう。普段から水分をあまり摂らないという自覚のあるママは、とくに意識して水分を摂るようにするといいですね。
授乳中、1日に摂取したい水分量ってどれくらい?
前述したように母乳育児中は体内から多くの水分が排出されます。体質や授乳量などにより個人差はありますが、水分は食事でも補えるので1日に2リットル程度を目安に水分を補給しましょう。一度にたくさん飲んでも必要量を超えた余分な水分は体内に吸収しきれず、尿や汗として出てしまいます。コップ1杯(200~250ml)程度を1日に8回を目安に、小まめに飲むことが大切です。
食事からも水分は摂れているのであまり神経質にならなくていいですが、授乳前後や、寝る前、寝起き、入浴前後などの水分が排出されるときは、水分補給したいタイミングです。また、これらのタイミングだけでなく、喉が渇く前に水分補給するのもポイントです。
ペットボトルや直接飲める水筒、タンブラーなどを授乳スペースの近くや目につきやすいところに置いておくと、育児や家事の合間、夜中の授乳前後にも水分補給しやすいです。ただし、赤ちゃんの近くや、赤ちゃんの手の届く範囲には置かないように注意しましょう。
水分不足で起こる他の影響(便秘、頭痛など)
体が水分不足になると、腸内にも影響します。腸は水分が不足すると便に含まれる水分を吸収するため、便が硬くなりやすいです。硬い便は排便しにくいですし、切れ痔の原因にもなります。会陰切開の傷などが気になる時期は硬い便を出すのがストレスになったり、排便を我慢したりしてさらに便秘を悪化させる可能性も。また、水分不足が続くと脱水症状のサインとして、めまいや吐き気、頭痛を引き起こす恐れもあります。健康を管理するためにも、水分は小まめに補給しましょうね。
水分補給にはどんな飲み物がおすすめ?温度は?NGな飲み物とは?
授乳中の水分補給は、体を冷やさない常温の水や白湯、カフェインの入っていない麦茶、ルイボスティー、ごぼう茶などがおすすめです。赤ちゃんがいる生活の中で温かいものを摂取するときは置き場所に気をつけ、赤ちゃんを抱っこしながら飲むのは避けましょう。
カフェインは母乳を介して赤ちゃんに移行し、興奮して眠りにくくなることもあります。コーヒーや紅茶、緑茶などは、1日に1~2杯程度に。気分転換には、ノンカフェインのコーヒーや紅茶、ローズヒップティーなどもいいですね。甘味飲料もほどほどにして、できるだけ無糖タイプを選びましょう。アルコールも同じく母乳を介して赤ちゃんに移行しますし、飲酒量が多いと母乳分泌が低下することもわかっています。母乳育児中のアルコール摂取は控え、お酒気分を味わいたいときはアルコールが全く入っていないノンアルコール飲料を選びましょう。
関連情報
赤ちゃんに適した母乳って?よく出る?栄養素がたっぷり入っている?お母さんの飲み物は関係する?管理栄養士おすすめの飲み物6選!
1日に必要な水分はスープやお味噌汁などで補ってもいいので、多めに作って、1日3回の食事に汁物を足すよう意識するのもいいですね。なるべく薄味を心がけ、具沢山にするといろいろな栄養も摂れておすすめです。具材をザクザク大きめにカットし、固形スープの素などを使えばパパや家族でも簡単に具沢山スープが作れると思います。ママの負担をグッと楽にしてくれるサポートになるので、ぜひ挑戦してみてください。
まとめ
産後は赤ちゃんのお世話や家事などで忙しく、なかなか自分を労わる機会が少ないですが、ママの健康が家族の笑顔に繋がります。しっかり水分、栄養を摂りながら、たまにはホッとひと息つける時間も持てるといいですね!
【プロフィール】
高杉絵理
看護師、助産師、保健師の資格を取得。国際ラクテーションコンサルタント。総合周産期母子医療センターの産科やNICU、産科クリニックで経験を積む。現在は世田谷区の保健センターで妊婦さんやママたちの相談業務に携わる。助産師にオンラインで相談できる「助産師サロン」も運営。先日お二人目をご出産され、2児の母としての育児も順調にスタート!
オンライン助産師サービス「助産師サロン」