産後のママたちに起こる母乳育児トラブル4つとは?解決策や予防策を教えて!

出産後数日たち、少し母乳育児にも慣れてきたかなと思ったら、乳首に傷ができたり、おっぱいが張って痛んだり…。「こんなときどうしたらいいの?」と、母乳育児にはおっぱいの悩みがいっぱいですよね。そこで今回は、産後のおっぱいに関連するトラブルとその対処法などについて助産師であり杏林大学の准教授である加藤先生にお話を伺いました。知っておくことで、安心して母乳育児を続けることができるかもしれません。

ーー出産後、母乳育児をするママに起こりがちなおっぱい関連のトラブルはどんなことがありますか?

個人差はありますが、授乳により、ママの乳頭が傷ついてしまって痛い、おっぱいが張って重い・痛い、帝王切開の傷に赤ちゃんが触れてしまうため授乳の姿勢が辛い、授乳頻度が多く睡眠不足になる、などです。ですが、どれもずっと続くのではなく一時的なもので、適切に対処すればおさまりますし、また予防できるものもあります。

おっぱいを飲むあかちゃん

ーーそれぞれどう対処したらいいのか、またその予防方法も教えてください!

トラブルの内容により異なるのでひとつひとつみていきましょう。

【トラブル1】乳頭が傷つき痛い
はじめのうちは赤ちゃんが上手におっぱいを吸うことができずに浅めに乳首をくわえていたり、吸う力が強すぎたりすることが主な原因です。このようなときはまず乳首のくわえ方を確認して、痛みのない吸い方をしてもらうようにしましょう。市販のおっぱいケア向けのオイルなどを傷に塗って皮膚を保護し、痛みがある間は一時的にさく乳した母乳をあげたり、ミルクを飲ませたりするなどして、おっぱいを休ませることもよいでしょう。乳頭カバーをして授乳を続けることもできます。

また、トラブルを予防するためにできることが3つあります。

1.少しずつ深くおっぱいを吸うよう調整する
例えばはじめのうちは1回の吸う時間を左右3分ずつなど短めにして、乳首への負担を減らします。しっかり乳輪まで深く咥えさせることも大切です。上手に吸えるようになってきたら徐々にその時間を長くしていきましょう。

2.赤ちゃんの口から乳首をはずすときに引っ張らない
授乳が終わっても、赤ちゃんは口に入っているものに吸いつくという本能があるので吸いついたままのことがありますが、そこでママが無理やり引っ張って外すと乳首を痛めてしまいます。そんなときは赤ちゃんの口角に指を入れてみましょう。赤ちゃんの口の中に空気が入って、乳首がぽろっと口から出てきますよ。

3.乳頭のマッサージ
妊娠34週ごろから行います。お腹が張る場合は、マッサージは中止してください。お腹が張りやすい、切迫早産気味の方は正産期と呼ばれる妊娠37週以降からがおすすめです。

乳輪から乳首にかけて圧迫することで乳首と乳輪がやわらかくなり、やわらかいと吸いやすくなり、皮膚も刺激になれてくるので授乳時に切れにくくなります。ただ、乳首を刺激することでお腹が張ることもあるので、担当の医師、助産師に相談して指導のもと行うようにしましょう。産後も乳首が硬めの場合は、授乳前に伸ばしたりつぶしたりしてやわらかくするといいですよ。

【トラブル2】おっぱいが張って痛い
張っている理由や状況によっては対処がさまざまなので、辛いときは出産した施設や近くの助産院、訪問助産師さんなどに診てもらうのがよいと思います。家庭でできることとしては、おっぱいを、タオルで包んだ保冷剤などで冷やしてあげること。母乳を作る血液量を抑えられ、張りが治まることがあります。母乳がどんどん出て、おっぱいが張っているときは赤ちゃんにどんどん飲んでもらうとその分、母乳はどんどん作られてしまいさらに張ってしまうことがあるので注意してください。

【トラブル3】授乳時、帝王切開の傷が痛い
傷に強く当たらないように赤ちゃんをフットボール抱きで授乳するなどの方法があります。これから出産する人は入院前に助産師に相談するなどして、抱き方のコツをつかんでおくとよいですね。

フットボール抱き

【トラブル4】睡眠不足
生まれたばかりの赤ちゃんは昼夜関係なく、2~3時間おきに、多い赤ちゃんだと1~2時間おきに起きておっぱいを欲しがります。その都度ママは授乳をするため、ママの睡眠時間も短くなります。そこで、スマホやテレビを見ず目を休めておく、眠るときはカーテンを閉めて暗くするなど、質のいい睡眠がとれるよう工夫しましょう。もし睡眠がとれず体への負担が大きい場合は、赤ちゃんをみてくださる方がいるなら一時的に搾乳した母乳やミルクでの授乳をお願いして、眠れるときに眠りましょう。

泣いている赤ちゃん

ママたちには、妊娠中は楽しく過ごして、産後もラクに楽しく育児をしてもらいたいと思っています。かけがえのない赤ちゃんとママのおっぱいの時間が辛いものにならないように、困ったら早めに相談しましょう。相談先は、出産した病院、助産院、母乳相談室、地域にある子育て支援センターなどさまざまあります。身動きがしづらいときは電話で相談したり、行政が行っている訪問助産師をお願いしたりしてもよいですね。1人で辛さを抱え込まずに、楽しい育児生活を送ってくださいね。

【著者プロフィール】

石戸谷尚子先生

加藤千晶
杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。



<イラスト出展:ピジョンにっこり授乳期研究会>

関連キーワード

TOPICS あなたにおすすめの記事

RANKING ランキング

  • 夜間授乳はいつまで必要?やめていい時期の見極め方は?【助産師が解説】

  • 母乳育児でミルクを足すべきかの判断ポイントと足す量・間隔など足し方のコツ【助産師監修】

  • 母乳やミルクを吐き戻すのはなぜ?予防はできる?受診の目安は?【小児科医が解説】

  • おっぱいに卒乳ケアが必要な理由を知って、正しく卒乳ケアをしよう【助産師が解説】

  • 【助産師が解説】赤ちゃんは母乳をどのくらい飲めているの? 確認する方法はある?

RECOMMEND おすすめ商品

  • リペアニプル(乳首・乳房などのケアにも)10g

  • 乳頭保護器 ソフトタイプMサイズ

  • 帝王切開になっても使える骨盤ケアインナーはくだけで骨盤キュットパンツ グレー

  • 母乳パワープラス90粒