母乳はどうして出るの?母乳育児はなぜいいの?いまさら聞けない母乳の基本【助産師が解説】

「母乳はどうして出るの?」「私も出るようになるのかな?」「なぜ母乳育児がいいといわれるの?」と疑問に思っている妊婦さんもいるのではないでしょうか。

そこで今回は母乳が出る仕組みと母乳育児にはどんなメリットがあるのか、助産師で杏林大学の准教授である加藤先生に教えて頂きました。

母乳育児を考えている方はもちろん、検討中の方も、ぜひ母乳の基本を理解しておきましょう。

母乳が出る仕組み

母乳を飲む赤ちゃん

妊娠するとプロラクチンという乳腺の発達を促すホルモンと、プロゲステロンという母乳が出ることを抑えるホルモンが分泌されます。妊娠するとおっぱいが大きくなるけれど母乳が出ないのはこのためです。

ところが出産するとプロゲステロンのはたらきが弱まって、母乳を外に出すはたらきをするオキシトシンというホルモンが分泌され、プロラクチンの濃度も高まります。

オキシトシンとプロラクチンは赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激で分泌量が増え、母乳が出るようになります。これが母乳が出る仕組みです。オキシトシンにはリラックスする作用や幸福感を与える作用があるため、「しあわせホルモン」などと呼ばれることもあるんですよ。

母乳の出には個人差はありますが、なかなか出ないと思っていた人も、赤ちゃんに吸わせているうちに出るようになったということもよくあります。また、母乳は出した量と同じ量が作られるようになっていくため、赤ちゃんが飲んだ分、新しい母乳が作られるようになるという特長があります。

母乳は赤ちゃんにとって理想的な食べ物!

赤ちゃんを抱っこするママ

母乳には赤ちゃんにとって次のようなメリットがあります。

・栄養バランスがよい

母乳には、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなど赤ちゃんが成長するのに必要な栄養がバランスよく含まれています。また、赤ちゃんの成長に合わせて成分が変化するのも特長です。

・病気にかかりにくくなる

細菌やウイルスが体に侵入して病菌になるのを防ぐ免疫物質が含まれているため、病気になりにくくなります。

・腸内でビフィズス菌、乳酸菌などの善玉菌が増える

母乳に含まれる成分が善玉菌を増やす効果があります。善玉菌が増えることで病菌の原因となるような大腸菌などが増えにくい環境ができるので、健康を保ちやすくなります。また赤ちゃんのときにできた腸内フローラは一生続くといわれています。

・消化、吸収がしやすい

母乳は消化、吸収がよいため、赤ちゃんの体に負担が少なく、またさまざまなアレルギーを起こしにくいともいわれています。

ママの産後の体の回復やダイエットの効果もある?!

スキンシップをとるママと赤ちゃん

赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激で分泌されるオキシトシンは、母乳を出すだけでなく、ママの子宮を収縮するはたらきもあります。つまり、妊娠中に大きくなった子宮を元に戻してママの体の回復を早めてくれるのです。

さらに、授乳をすることで乳がんや卵巣がんの発症リスクが下がる、骨粗しょう症や糖尿病、高血圧などを予防できる可能性があるなど、健康面にもメリットをもたらします。

また、ママにとってカロリー消費量も多い点もメリットといえるでしょう。母乳育児を続けているうちに、妊娠中についた脂肪がとれていき、妊娠前の体形に戻りやすくなります。

まとめ

母乳には赤ちゃんにとってもママにとってもメリットがたくさんあります。母乳で育ててみたいなと考えている場合は産院に相談して、妊娠中からおっぱいのケアをはじめて準備しておくとよいかもしれません。

ただし、母乳の出方は人それぞれで、準備をしっかりしていても必ずしも十分に分泌されるとは限りません。また体力的に思ったより大変……と感じる方もいるでしょう。そんなときは一人で悩まずに母乳外来や母乳相談室で助産師に相談してみてくださいね。

みなさんの授乳タイムが、赤ちゃんとママが心を通わせる素敵な時間になるよう心から願っています。

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【プロフィール】

加藤千晶先生

加藤千晶
杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。

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