母乳育児中にやっていいこと・やってはいけないこと【助産師が解説】

母乳育児中は、ママがおこなうことが母乳に影響しないか、やってもいいことなのかどうか判断に迷うこともありますよね。そこで、普段の生活で母乳育児中のママがやっていいこと・やってはいけないことについて、助産師サロンを運営する高杉絵里さんに教えてもらいました。

母乳育児中にやっていいこと・やってはいけないことがあります

胸に手を当てる女性

母乳育児中は、ママがしたことが母乳の出に影響しないか、母乳を通して赤ちゃんに影響しないか、母乳の味や成分が変わってしまうのではないかということが大きな気がかりだと思います。母乳の味や成分は、ママが飲食したものに影響されるという考え方もありますが、科学的根拠はありません。

ただし、飲食に限らず、ものによっては注意が必要である場合や、スムーズな母乳育児のために控えたいこと・気をつけたいことがあります。安心して母乳育児を続けるために、疑問に思いがちなことについて解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

母乳育児中の生活 これって大丈夫?

赤ちゃんを見ながらストレッチするママ

運動をする △

母乳には直接影響しませんが、出産直後は骨盤が緩んでいるため、激しい運動は控えたほうがいいでしょう。簡単なストレッチは、産後すぐから大丈夫。産後はむくみもあるので、かかとの曲げ伸ばしや、母乳分泌を促進するためにも肩回し、腕回しもおすすめです。ヨガ、ピラティスも産後クラスのものなら始められます。産後いつからできるかは、教室に問い合わせてみましょう。

予防接種をする 〇

現在、日本でおこなわれている予防接種をママが受けても問題ありません。母乳を通してその病気に赤ちゃんが感染することはありません。逆にママの体の中で作られた抗体が母乳を介して赤ちゃんに届き、その病気に感染するのを予防する可能性が高いのです。インフルエンザなどが流行ったとき、赤ちゃんにうつさないためにも、大人が受けておくことが大切。風疹ワクチンの抗体が低いママは、産後に風疹ワクチンを接種することも検討してください。

X線検査を受ける 〇

放射線が体内に残ったり、母乳に影響を与えたりすることはなく、検査後の授乳も問題ありません。ただし、病院によっては授乳中に検査をしないところもあるので、検査を受けたいときは事前に確認し、医師に授乳中であることを伝え、相談をしましょう。また、マンモグラフィーによる乳がん検診は、授乳中は正しく判断できないこともあるため、卒乳後、半年以上経過しているほうが望ましいです。

医薬品を使う △

ほとんどの薬が授乳中も内服できることが多く、母乳に移行する量はごくわずかで、影響がない程度です。ただし、中には赤ちゃんに影響を及ぼす薬もあるので、服用前に医師や薬剤師に授乳中であることを伝え、相談しましょう。目薬、湿布剤などは問題ないことが多いです。

エステに行く 〇

ママがリラックスできるなら行ってもOK。循環がよくなったり、むくみやコリの解消により母乳分泌がよくなったりすることもあります。レーザー脱毛なども母乳への影響はありません。ただ、産後は肌が敏感になる人や、肌質が変わる人が多いので、肌トラブルに気をつけましょう。

パーマやカラーリングをする 〇

パーマやカラーリング剤が母乳に移行することはないので心配しないでいいでしょう。ただし、産後は抜け毛が増えたり、肌が敏感になったりする人もいるので注意しましょう。

アルコールを飲む ×

アルコールは母乳を介して赤ちゃんに移行します。ママの飲酒量が多い場合には、母乳分泌量の低下がみられ、その結果赤ちゃんの成長が抑制されることも。授乳中は我慢して、ノンアルコール飲料でお酒の気分を味わって。ノンアルコールと表示されていても1%まではアルコールが入っているものもあります。購入時は必ず、アルコールが全く入っていないことを確認しましょう。

ただ、授乳期間中に結婚式に出席するなどお酒の席に参加する機会もあると思います。個人差はありますが、体内のアルコール濃度は飲酒後2時間をピークに、その後低下していくといわれています。アルコールを飲んだ際は、その後3時間は授乳を避けましょう。なお、2時間で体内からなくなる一般的な目安とされているのは、ビールなら350ml 1本くらい、グラスワインなら1杯程度です。ただし、アルコールを分解する時間は個人差があるので、できるだけ少なくするとよいでしょう。

このように直接おっぱいをあげられないときは、あらかじめ搾乳・保存しておいた母乳を赤ちゃんにあげたり、胸が張るときは、搾乳しておっぱいを落ち着かせたりすることもできます。

関連情報:
母乳育児生活の幅が広がる「冷凍母乳」とは?

スムーズにさく乳したいときに役立つ「さく乳器」って?

コーヒー・紅茶を飲む △

カフェインは母乳を介して赤ちゃんに移行します。カフェインの作用で赤ちゃんが眠りにくくなることもありますから、飲むなら授乳後がベター。また量も、赤ちゃんへの影響が心配するものではないとされている、1日に1~2杯程度にしておきましょう。ノンカフェインのコーヒーや紅茶も試してみて。できるだけ無糖タイプを選びましょう。

関連情報:
母乳育児中のママがとるべき食事とは?母乳に大切な栄養素は?【管理栄養士が監修】

赤ちゃんに適した母乳って?よく出る?栄養素がたっぷり入っている?お母さんの飲み物は関係する?管理栄養士おすすめの飲み物6選!

授乳中におやつ(間食)を食べても大丈夫?管理栄養士がおすすめする授乳中のおやつ6選!

妊娠中・授乳中の食事は赤ちゃんのアレルギーに影響する?何に気をつけたらいい?

まとめ

授乳中に気を付けたいこと、控えたいことを知っておくことは大切ですが、やってはいけないことをたくさん考えるより、どうやったらできるか(たとえばカフェインなら1~2杯ならOKなど)と考えたほうがラクかもしれませんね。

授乳期間は長く続きます。そしてなにより、授乳はママと赤ちゃんのための幸せなスキンシップの時間でもあります。母乳育児中は大変だったり、つらくてやめたいと思ったりすることもあるかもしれませんが、ママとお子さんにしか感じられない幸せな時間もたくさんあるはず。
肩の力を抜いて、気楽に、気長に、今しかない母乳育児を楽しんでくださいね。

【プロフィール】

高杉絵理さん

高杉絵理
看護師、助産師、保健師の資格を取得。国際ラクテーションコンサルタント。総合周産期母子医療センターの産科やNICU、産科クリニックで経験を積む。現在は世田谷区の保健センターで妊婦さんやママたちの相談業務に携わる。助産師にオンラインで相談できる「助産師サロン」も運営。自身も1児の母として育児に奮闘中。

関連キーワード

TOPICS あなたにおすすめの記事

RANKING ランキング

  • 夜間授乳はいつまで必要?やめていい時期の見極め方は?【助産師が解説】

  • 母乳やミルクを吐き戻すのはなぜ?予防はできる?受診の目安は?【小児科医が解説】

  • 母乳育児でミルクを足すべきかの判断ポイントと足す量・間隔など足し方のコツ【助産師監修】

  • おっぱいに卒乳ケアが必要な理由を知って、正しく卒乳ケアをしよう【助産師が解説】

  • 夜間断乳をするときは慎重に!メリットや成功のコツと注意点を助産師が解説

RECOMMEND おすすめ商品

  • ピジョン母乳アシスト さく乳器 電動handy fit+(ハンディフィット+)

  • ピジョン母乳アシスト さく乳器 手動(manual)

  • 母乳フリーザーパック80ml 20枚入

  • 母乳フリーザーパック アダプター