【小児科医監修】見極めるポイントとホームケア 赤ちゃんの体調不良、病院へ行く目安は?

赤ちゃんの体調不良で戸惑ったとき、まず知っておきたいこと

赤ちゃんが熱を出したり、いつもより元気がなかったりすると、「このまま様子を見ても大丈夫かな」「病院へ行ったほうがいいかな」と迷ってしまうこともあるでしょう。とくに初めての育児では、少しの変化でも不安になるものです。

赤ちゃんは体調が悪くても自分の言葉で伝えることができません。そんなときに手がかりになるのが、普段の機嫌、母乳やミルクの飲み方、眠り方、顔色などの「いつもの様子」です。

この記事では、毎日のお世話の中で気をつけておきたいポイントや、自宅でできるケア、医療機関を受診する目安を紹介します。判断に迷ったとき、必要なところから読み返していただければと思います。

赤ちゃんの体調管理は「いつもの様子」を知ることから

赤ちゃんは病気にかかると進行が早く、重症化しやすい傾向が

赤ちゃんは、大人に比べて体の機能がまだ発達の途中にあり、水分バランスも崩れやすいという特徴を持っています。そのため、発熱や下痢、嘔吐など、症状が現れると短時間で体調が変化し、重症化しやすい傾向があります。熱を出すと体温の高さのみに気を取られがちですが、機嫌や顔色、母乳やミルクの飲み方なども、体調を知るための大切な手がかりです。普段との違いも、赤ちゃんの体調を判断する目安になります。

ママからもらった免疫抗体は生後半年くらいまで

赤ちゃんは、ママのおなかの中にいるときに胎盤を通じて免疫抗体を受け取ります。母乳から受け取る抗体もありますが、それらは徐々に減っていき、生後5~6ヵ月ごろからは感染症にかかりやすくなります。これは赤ちゃんの成長に伴う自然な変化です。

体調管理とは「病気探し」ではなく「いつもの様子」を知ること

体調管理の目的は、病気を見つけることだけではありません。元気なときの機嫌、母乳やミルクの飲み方、眠り方(寝つきや睡眠時間)、顔色、排せつの回数や色、肌の様子など、「いつもの様子」を知っておくことも大切です。特別な観察力が必要というわけではなく、毎日の育児のなかで、その子なりの「いつも」が少しずつわかるようになっていきますので、焦らなくても大丈夫です。

「いつもと違う」に気づくための観察ポイント

体調の変化に気づくための8つのポイント

①機嫌:なかなか泣き止まない/呼びかけへの反応がいつもより弱い/あまり笑わない

②表情:ぼんやりしている/視線が合いにくい/苦しそうな表情をしている

③食欲:ミルクや母乳を飲む量がいつもより明らかに少ない/離乳食を急に食べなくなる

④排せつ:おしっこの量や回数がいつもより少ない/おしっこの色が赤色・赤黒色・白色/おしっこをするときに痛がる
うんちの量や回数がいつもより増えている/うんちの色が赤色・赤黒色・白色/水のようなうんちを繰り返す/うんちが硬く、出しにくそうにしている/うんちをするときに痛がる
※生後1週間以内の、のりのつくだ煮のような黒緑色の便は胎便と呼ばれ、心配のないうんちです。

⑤顔色:いつもより白っぽい/青白い/唇の色が悪い

⑥睡眠:いつもより長く眠る/眠りが浅く何度も起きる/寝かしつけてもなかなか泣き止まない

⑦汗のかき方:汗の量がいつもより増える、または減る/冷や汗をかいている

⑧肌の様子:発疹が出る/いつもより乾燥や赤みが強い/湿疹が広がる

これらすべてを毎回確認するのは難しいものです。「なんとなく、いつもと違うな」という感覚が、体調の変化に気づくきっかけにもなります。

参考:こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」PDFデータ
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/cd6e454e/20231010_policies_hoiku_25.pdf

参考:厚生労働省「子どものための医療機関の選び方と症状別対応法」
https://www.mhlw.go.jp/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/2019/02_01.html

おむつ替え・着替え・保湿ケアは観察のチャンス

おむつ替えでは便の状態やおむつかぶれ、着替えでは発疹や汗の量、保湿ケアでは乾燥や赤み、肌の温かさなど、毎日のお世話で気づける変化もあります。改めて観察の時間をつくらなくても、普段のお世話が体調を知る機会にもなります。

普段の体温(平熱)を知っておくと安心

赤ちゃんの体温がいつもより高いと感じると、心配になるものですね。赤ちゃんの体温はもともと大人よりも高めで、授乳後や泣いたあとなども上がりやすい傾向があります。少し高めでも、必ずしも発熱しているとは限りません。

そんなときに参考になるのが赤ちゃんの平熱です。元気なときに、できるだけ同じ時間帯・同じ部位・同じ測り方で体温を測っておくと平熱の目安がわかります。体調を崩したときは、測った体温だけでなく、普段の体温との差も確認しましょう。

参考:こども家庭庁「新生児(生後約4週間までの赤ちゃん)赤ちゃんの具合が悪い時 母子健康手帳情報支援サイト」内「新生児(生後約4週間までの赤ちゃん)」PDFデータ
https://mchbook.cfa.go.jp/pdf/item_1_2.pdf

鼻・肌・体温のホームケア

鼻づまりは「つらさ」の原因になりやすい

赤ちゃんは自分で鼻をかむことができないため、鼻づまりがあるとミルクや母乳を飲みにくくなったり、眠りが浅くなったり、いつもより機嫌が悪くなったりすることがあります。

また、鼻水が奥に溜まった状態が続くと、中耳炎の原因につながります。鼻のケアは、赤ちゃんのつらさをやわらげ、少しでも過ごしやすくするためにも大切です。

具体的な方法としては、蒸しタオルや入浴後の蒸気で鼻の通りをよくするほか、鼻水吸引器を使うのも選択肢のひとつです。様子を見ながら、無理のない範囲で取り入れてみましょう。

スキンケアは肌を守り、変化に気づくきっかけ

肌の乾燥や赤み、湿疹、おむつかぶれは、体調や季節の変化、衣類などの刺激によって起きやすくなります。保湿ケアは、肌のバリア機能を保つだけでなく、乾燥や赤みなどの変化に気づくきっかけにもなります。

水分補給と過ごしやすい環境づくり

発熱時は汗で水分が失われやすくなります。また、鼻づまりがあるとミルクや母乳の量が減ってしまうことがあります。こんなときには、一度にたくさん飲ませようとせず、少量ずつこまめに飲ませてみましょう。水分が足りているかどうかは、おしっこの回数も目安になります。

空気が乾燥していると、鼻水が固まって鼻づまりが起こりやすくなります。鼻での呼吸がしやすい状態を保つためにも、室内が乾燥しすぎないよう湿度を調整しましょう。

部屋が暑すぎたり寒すぎたりすると、赤ちゃんは体温調節のために、大人が思っている以上に体力を使います。様子を確認しながら、過ごしやすい室温と湿度に整えてあげましょう。

赤ちゃんが熱を出したときの過ごし方

赤ちゃんが熱を出すと、体温の高さに驚いてしまいますよね。このときには、体温の数字だけで判断せず、あわせて、機嫌や水分の摂り方、顔色、呼びかけへの反応も確認しましょう。

発熱時に心がけたいこと

・服を着せすぎず、熱がこもらないようにする
・赤ちゃんの様子にあわせて、室温を調整する
・水分を少量ずつ、こまめに与える
・機嫌や顔色、呼びかけへの反応を確認する

立ち止まって見直したいこと

・熱が低いから「大丈夫」、熱が高いから「症状が重い」と判断してしまう
・ぐったりしていても、「そのうち良くなるかもしれない」と様子を見続けてしまう

体温だけでは、赤ちゃんの状態を判断しにくいことがあります。熱が高くても必ずしも症状が重いとは限らず、反対に、熱が高くなくても注意が必要な場合があります。機嫌や顔色、水分の摂り方、呼びかけへの反応もあわせて確認しましょう。「いつもより元気がない」「なんとなく様子が違う」と感じたときや、ぐったりしていて呼びかけへの反応が弱いといった様子が見られる場合には、できるだけ早めに医療機関に相談しましょう。

保育園・集団生活が始まってからの健康管理

入園1年目に休みが増えるのは自然なこと

保育園などの集団生活が始まると、赤ちゃんはそれまでよりも感染症にかかりやすくなるものです。また、新しい環境や生活リズムに慣れるまで体調を崩すこともあります。そのたびに仕事を休んだり、保育園からの呼び出しが続いたりすると、「このままで大丈夫かな」と不安になることもあるでしょう。ですが、入園して間もない時期に体調を崩すのは、めずらしいことではありません。

家庭でできる対策には、帰宅後の手洗いや着替え、入浴、顔まわりを清潔にすることなどが挙げられます。すべてを徹底しようとせず、続けやすいことから取り入れてみてください。

ただし、どれだけ気をつけていても、感染症や体調不良をすべて防ぐことはできません。通院が続くと、不安や疲れを感じることもあります。ですが、この状況は成長とともに少しずつ落ち着いていくものです。今できることから、無理のない範囲でやっていきましょう。

参考:こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年度改訂版・令和5年10月一部改訂)」PDFデータ
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/cd6e454e/20231010_policies_hoiku_25.pdf

赤ちゃんの体調変化に備えて、普段からできること

自宅にあると安心な基本アイテム

赤ちゃんが急に体調を崩したとき、必要なものが手元にあると落ち着いて対応しやすくなります。

・体温計:普段の体温や、発熱時の変化を確認する

・お薬手帳・母子手帳:受診の際に、経過やアレルギーの有無などを医師に伝える

・経口補水液(乳幼児に対応したもの):発熱・下痢・嘔吐などで水分が不足しやすいときの補給にする(基本的にはいつもの水分が取れていれば不要。たくさん摂る必要はありません)

・綿棒など:鼻や肌のケアに使う。大人用、赤ちゃん用のどちらもあると便利

・保冷剤・氷枕など:熱や暑さによる不快感をやわらげる(冷却シートは窒息の危険があるので使用しない。6ヵ月までの赤ちゃんには、頭の下への氷枕使用も避ける)

すべてを一度に揃えなくても大丈夫です。まずは体温計など普段使うものから、少しずつ準備しておくと安心です。

自宅にあると安心な基本アイテムチェックリスト:体温計(平熱・発熱時の把握用)、お薬手帳・母子手帳、経口補水液(乳幼児対応のもの)、綿棒など(鼻や肌の日常的なケア用)、保冷剤・氷枕など(熱や暑さで寝苦しいときに)

いざというときの相談先を確認しておこう

赤ちゃんの具合が急に悪くなると、「どこに相談すればいいだろう」と判断に迷うこともあります。次の連絡先をスマホに登録したり、紙に書いて冷蔵庫など目につく場所に貼ったりしておくと安心です。

・かかりつけ医の連絡先・診療時間
・近隣で夜間・休日診療を行なっている医療機関
・子ども医療電話相談「#8000」(旧・小児救急電話相談事業)

「#8000」は、夜間や休日に赤ちゃんの体調について、小児科医や看護師に相談できる窓口です。家庭での対処方法や、医療機関を受診した方がよいかなど、症状に応じたアドバイスを受けられます。携帯電話やプッシュ回線からは「#8000」を利用できますが、ダイヤル回線や一部のIP電話からはつながらない場合があります。その場合には、各都道府県が設けている通常の電話番号へかけましょう。受付時間は地域によって異なるため、事前に確認しておくといいでしょう。

参考:厚生労働省「子どもの症状は♯8000(子ども医療電話相談事業)」
https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/8000.html

病院に行くか迷ったときの受診の目安

すぐに受診を考えたいサイン

次のような様子が見られるときは、夜間や休日でも、迷わず医療機関を受診しましょう。受診先に迷ったときには、#8000に相談することもできます。

・けいれんが起きている
・ぐったりしていて、呼びかけへの反応が弱い
・ミルクや母乳、水分をほとんど受け付けない
・顔色がとても悪い、唇が青白い、青紫色になっている

受診時に医師へ伝えたいこと

受診の際は、次のような情報があると、医師が赤ちゃんの体調や症状の経過を把握しやすくなります。言葉での説明が難しい場合には、症状を写真や動画で伝えるのも助けになります。

・いつから症状が出ているか
・どんな症状があるか(咳、鼻水、発疹など)
・熱は何度で、どのように変化したか
・ミルクや母乳、水分が摂れているか
・おしっこは出ているか
・便の状態はどうか

赤ちゃんの薬を保管・使用するときの注意点

病院から処方された薬が余っていても、次に似た症状が出たときに自己判断で使うのは避けましょう。前回と同じような症状に見えても、そのときの体調や月齢、体重によって、適した薬や使用量が異なることがあります。使っていいか迷った場合は、処方を受けた医療機関や薬局に確認しましょう。

服用中の薬は、薬袋などに書かれた方法に従って保管します。薬によっては冷蔵保存が必要なものもありますが、すべてを冷蔵庫に入れるとは限りません。薬の種類ごとに保管方法を確認し、赤ちゃんやほかの子どもの手や目が届かない場所におきましょう。余った薬をどのように取り扱えばいいかわからない場合には、医療機関や薬局に相談しましょう。

参考:こども家庭庁「こどもの病気やけが 母子健康手帳情報支援サイト」内「こどもの病気やけが」PDFデータ
https://mchbook.cfa.go.jp/pdf/item_3_1.pdf

赤ちゃんの健康管理に関するQ&A

Q1:鼻水吸引器を嫌がるときも、無理に使ったほうがいいですか?
A:毎回無理に使う必要はありません。鼻づまりでミルクや母乳を飲みにくそうなときや、眠りにくそうなときに、無理のない範囲で使ってみましょう。
Q2:熱があるときは、お風呂に入っても大丈夫ですか?
A:機嫌や顔色に気になる変化がなく、水分が摂れていれば、ぬるめのお湯にさっと入浴するかシャワーを使いましょう。ぐったりしている、つらそうにしているときは拭くだけにしましょう。
Q3:熱があり、食欲がありません。どうすればいいですか?
A:無理に食べさせず、まずは母乳やミルクなどの水分が摂れているかを確認しましょう。水分も受け付けない、おしっこの回数が減っている、ぐったりしているときは、医療機関へ相談しましょう。
Q4:#8000に電話するかどうか迷っています。
A:「こんなことで相談してもいいのかな」とためらうこともあるかもしれません。ですが、受診に迷ったときや、赤ちゃんの様子が気になるときは、遠慮せずにかけてください。
Q5:親が体調不良のときはどうしたらいいですか?また、授乳中に、薬を飲んでも大丈夫ですか?
A:まずは、ご自身が休むことを優先してください。パートナーや家族、自治体の一時保育など、頼れる人やサービスがあれば力を借り、家事もできる範囲にとどめましょう。

授乳中の薬について迷ったときは、我慢したり自己判断で授乳をやめたりせず、まずは医師や薬剤師に相談してください。

参考:国立成育医療研究センター「授乳と薬について知りたい方へ 妊娠と薬情報センター」
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/

Q6:体温計が手元にないとき、赤ちゃんの熱を確かめる方法はありますか?
A:普段から赤ちゃんに触れているママやパパだからこそ、「いつもよりお腹や背中が熱い」といった違いに気づくことがあります。ただし、手で触れただけでは正確な体温はわからないため、できるだけ早めに体温計で確認しましょう。
Q7:熱が出ているのに手足が冷たいです。こんなときは冷やさないほうがいいですか?
A:熱の上がり始めは、手足が冷たくなったり、寒そうに震えたりすることがあります。その場合は無理に冷やさず、薄手の毛布や衣類で寒くないように調節してあげましょう。

一方、手足が温かくなり、汗をかき始めたら熱が上がりきったサインです。このときは服をゆるめ、熱がこもらないようにしましょう。ぐったりしていたり、いつもと様子が違うときには、早めに医療機関を受診してください。

まとめ~迷ったときは、一人で抱え込まないで

赤ちゃんの体調を見守るうえで大切なのは、すべての変化を見逃さないことではなく、わが子の普段の様子や体温などを少しずつ知っていくことです。初めての育児では迷うことも多いものです。そんなときには、一人で答えを出そうとせず、#8000や医師、薬剤師などに相談してみてください。周囲の力も借りながら、ママやパパの心と体も大切にしてくださいね。

監修してくれた先生

保田典子先生 保田典子

小児科 | 高円寺こどもクリニック院長
2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務等を経て現職。小児科専門医、こどもの心相談医。一般診療、小児循環器診療に加えて、起立性調節障害や発達相談、漢方治療にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。2026年4月、子どものための訪問看護ステーション(ここる訪問看護ステーション)をオープン。3児の母。

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