おむつ
赤ちゃんのおしりを、いつもきれいに
こまめなおむつ替えは、デリケートでやわらかな赤ちゃんのおしりを守るために、とても大切なこと。また、うんちやおしっこは健康状態を知る手がかりです。しっかりチェックしてあげましょう。おむつ替えは、赤ちゃんとのコミュニケーションタイムでもあります。「きれいになったよ」「気持ちいいね」と、たくさん話しかけてあげましょう。
赤ちゃんのおしっこ・うんち
赤ちゃんのおしっこ・うんちは成長に伴って変わります。
おしっこ
生後間もない時期は、回数が多いのが特徴。これは、膀胱の容量が小さく、排尿をコントロールする神経も育っていないため。新生児期には1日15~20回くらいおしっこをします。成長に従ってだんだんおしっこをためられるようになり、回数が減っていきます。個人差はありますが、1才代には1日に10回程度に。一晩中おしっこをしない日も増えてくるでしょう。
【健康なおしっこ】薄い黄色
夏場などに色が濃くなることもありますが、機嫌がよく、おっぱいやミルクをよく飲んでいる、食欲もあるなどの場合は心配ありません。
【心配なおしっこ】こんなときは、小児科を受診しましょう。
●おしっこがピンク色
●おむつにウミがついている
●おしっこをする時に痛がって泣く
●おしっこの量や回数が極端に減った
うんち
生後数日間は、緑がかった黒色のうんち(胎便)が出ます。その後は黄色や茶色のうんちになりますが、低月齢のうちはやわらかく、回数が多いのが普通です。母乳やミルクを飲むたびにうんちが出ることもあります。成長に伴って、徐々にうんちに含まれている水分が少なくなり、回数も減っていきます。離乳食が始まると、色やにおいも大人に近づいてくるでしょう。
【健康なうんち】黄色・茶色・緑色
●緑色
うんちに含まれている胆汁が酸化されて変化したため緑色になることがあります。乳児期、特に低月齢で見られますが、心配ありません。
●白い粒が混ざっている
母乳やミルクの成分が消化・吸収される過程で固まったもの。心配ありません。
●食べたものがそのまま出てくる
繊維質の多い食品が未消化の状態で出てきたもので、心配ありません。消化機能が発達すれば、自然に見られなくなります。
【心配なうんち】赤色・赤黒色・白色
おむつを持参する、うんちを撮影するなどして小児科を受診し、医師に見せて相談しましょう。
便秘や下痢になったら
便秘
こんな様子が見られたら、便秘かもしれません。
・ふだんより回数が少なく、うんちが硬い
・出す時に強くいきんでいたり、泣いていたりして苦しそうな様子がある
・毎日出ていても、 コロコロのうんちが少ししか出ない
毎日うんちが出なくても、機嫌がよく、うんちがスムーズに出るなら、心配ありませんが、うんちが3日間出ないときは、4日目以上を目安に浣腸や受診を考えましょう。
便秘が続くと、機嫌が悪くなったり、食欲が落ちたりします。さらに頑固な便秘になることも。便秘かもと思ったときは、次のような、うんちを出しやすくするケアをしてあげましょう。
【便秘のケア】
●水分補給を多めにするよう心がける
●離乳食は食物繊維の豊富な食材を取り入れる
食物繊維は腸内で水分を吸収し、うんちのかさを増しながらうんちを軟らかくします。さつまいもとりんご煮、ヨーグルト、きな粉、オクラなど、食物繊維の豊富な食材を、月齢や離乳食の進みに合わせて与えましょう。
●お腹をマッサージ
手のひらで、おへそを中心に「の」の字を書く要領で、時計まわりにやさしくさすって押すようにマッサージすると効果的です。
●綿棒で肛門を刺激
綿棒の先端にベビーオイルやワセリンを付け、1〜2cmほど肛門に差し込み、軽く回して刺激します。
●果汁を与える(離乳食期以降)
果物の糖分やペクチンが便をやわらかくすることから、薄めた果汁を与えます。果汁(りんご、柑橘類など)を水で3倍程度に薄めて、1度に10〜20mlを飲ませます。
下痢
飲んだり食べたりしたものが腸で十分吸収されずに出てしまうのが下痢です。以下のような症状がみられます。
・ふだんと比べて明らかに水っぽい、ゆるいうんち
・極端に回数が多い
単にやわらかいうんちが出るだけなら、下痢ではありません。離乳食で新しい食品を食べた後などは、うんちがゆるくなることがあります。
多少下痢気味でも、機嫌がよく食欲もあるようなら、様子を見て大丈夫。熱や嘔吐を伴うときや、元気がなくぐったりしているときは、小児科を受診しましょう。
こまめなおむつ替えで、気持ちよく
汚れたらおむつ替えが基本です。紙おむつは吸収性・保水性に優れていますが、うんちやおしっこは肌への刺激になります。汚れたおむつを長時間付けたままにしていると、おむつかぶれの原因になってしまいます。
おむつ替えのポイント
赤ちゃんの足を無理に引っ張らない
股関節脱臼を起こす恐れがあります。おしりの下に手を入れて持ち上げるようにしましょう。
手早くおむつを替える工夫を
おしりふきや新しいおむつを手元に準備してから、おむつを交換します。途中でぐずらないよう、おもちゃなどを持たせておくとスムーズかもしれません。
つかまりだちができたら、たっちの姿勢でも
動けるようになると、あお向けの姿勢を嫌がる赤ちゃんも多いもの。 無理に押さえつけると、余計にぐずってしまいます。 立たせた姿勢で、ハイハイで逃げ出したら四つんばいで、など臨機応変に。
うんちのふき方は、男の子と女の子で違う
男の子は、おちんちんやタマタマの裏側もふき残しがないように。女の子は、うんちが尿道に付かないように必ず前から後ろへふきます。細菌感染を防ぐためです。
おむつかぶれって?
おむつをあてている部分が赤くなるのがおむつかぶれ。長時間おむつをつけることでおむつ内が蒸れ、ふやけて傷つきやすくなった状態の肌に刺激が加わることで起こります。おむつかぶれは予防が肝心。以下のポイントに気をつけましょう。
おむつかぶれの予防方法
1.こまめにおむつを替え、おしりを清潔に保つ
2.おむつ替えのたびに、おしりふきなどで汚れをやさしく拭きとる。うんちをしたあとは、おしりをシャワーで流すとより効果的。ぬるま湯をたっぷり含ませたティッシュで擦らずぬぐいとる方法も。
3.おしりを拭いたらオイルやクリームなどを塗って保湿をする。その後、5分ほど自然乾燥させてから新しいおむつを履かせる。
4.1日1回、泡立てた洗浄料で洗って清潔に。おふろに入れないときは、おしりだけでも洗ってあげる。
5.布おむつは、すすぎを念入りに。日光によく当てて干す。
おむつかぶれになってしまったら
軽症であれば数日で治ることもあります。家庭でできる対処法は、こまめなおむつ替えはもちろん、うんちのあとは、シャワーで洗い流すか水分を多く含んだティッシュで擦らないようにぬぐいとるようにすることです。そして、症状のないところは通常の保湿をしてしっかり乾かし、症状があるところにはペタペタとワセリンを乗せるように塗りましょう。ワセリンは肌を保護する役割があるので、乾かさずにおむつを履かせて構いません。
なかなか治らない、ただれてしまったなど症状がひどいときは、できるだけ早くかかりつけの小児科か皮膚科を受診しましょう。
トイレ・トレーニングはあせらずに
スタートは、体と心の準備が整ってから
トイレのトレーニングを早く始めたからといって、早くおむつが取れるわけではありません。トレーニングには脳や神経系統が発達し、体と心の準備が整っていることが必要。準備が整っていないのにトレーニングをしてもうまくいきません。次の目安をもとにスタートしましょう。
トレーニングスタートのめやす
●ひとりで立って自由に歩ける
●ひとりで安定しておすわりができる
●かんたんな意思疎通ができる(「トイレに行く?」や「ちょっと待っててね」など周りからの投げかけに反応して答えられる)
●おしっこの間隔が2〜3時間あく(2〜3時間、膀胱に尿をためることができる)
準備が整う時期は、個人差がかなりあります。まわりと比較しないで、あせらず時期を待ってあげましょう。
トレーニングはその子のペースに合わせて、楽しく
トレーニングの進み具合にも、個人差があります。 あせらず気長に、その子のペースですすめることが大切です。
トレーニングスタートのポイント
●トイレに対する興味を持たせる
絵本や映像、音楽など視覚、聴覚から入ってくるものは子どもが受け入れやすく効果的です。トイレをテーマにした絵本やおもちゃ、映像、音楽などを活用して、遊びを通してイメージ作りをしましょう。また、「おしっこ出たね」といった言葉かけもおすすめです。
●親のトイレを見せたり、補助便座やおまるに座らせたりする
おしっこはトイレでするものと伝えるために、大人のトイレを見せて、補助便座やおまるに座らせてみましょう。明るい雰囲気で誘うのがポイントです。
●トイレに行くタイミングを手助けする
前の排泄から2〜3時間空いたころに、トイレに行こうと誘ってみましょう。こちらが声かけしすぎるとトイレに行きたがらなくなってしまう場合もあるので、あくまでもちょっと手助けをするくらいに気軽に考えましょう。
●おしっこサインを見逃さず、トイレに誘う
脳の排泄コントロールができてくると、おしっこの前にモゾモゾしたり、おむつに触ったりといったサインが現れます。タイミングよく声をかけて。朝起きた時、食事の後など生活の節目で誘うのもいいでしょう。
●できたらほめて、失敗してもしからない。
うまくできたときは、思いきりほめてあげましょう。失敗しても、絶対にしからないことも大切です。気長に根気よくつきあってあげましょう。
トイレ・トレーニングの時期は、意志や自尊心が芽生えてくる頃。大人があせってやらせようとすると、かえって言うことを聞かなくなってしまうことも。トレーニングを自分で楽しめるよう工夫してあげましょう。
監修してくれた先生
保田典子
小児科 | 高円寺こどもクリニック院長
2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務等を経て現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。