【小児科医監修】飲ませ方と月齢・年齢別の目安(0才~6才) 赤ちゃんの麦茶はいつから?水分補給は足りてる?
赤ちゃんの麦茶はいつから?水分補給の基本ステップ
「赤ちゃんに麦茶を飲ませていいのはいつから?」「母乳やミルクだけで水分は足りているの?」など、暑い日が続く季節やお風呂上がりは、水分補給が心配になりますよね。
この記事では、麦茶を始める時期や月齢ごとの飲み物選び、脱水サインの見分け方、外出先での工夫まで、0才~6才の水分補給にまつわる「知りたかったこと」をひとつずつ解説していきます。「どうしよう?」と迷ったときのヒントにしてください。
麦茶・湯冷ましは「離乳食の開始」が目安
赤ちゃんに麦茶や湯冷ましを飲ませ始める時期は、離乳食のスタートが一つの目安です。生後5ヵ月~6ヵ月頃、離乳食を始めるタイミングに合わせて、食事の合間や食後に少量ずつ試していく流れが一般的です。
麦茶はノンカフェインで赤ちゃんの体にやさしい飲み物ですが、最初から一度にたくさん飲ませる必要はありません。離乳食用のスプーンで一口ずつ、赤ちゃんの反応を見ながら進めていきましょう。
生後6ヵ月頃までは「母乳・ミルクのみ」でOK
「暑い日は何か水分をあげたほうがいいのかな」「お風呂上がり、のどが渇いていないかな」など、赤ちゃんのお世話をしていると、何を追加して飲ませればいいのか気になるものです。
ですが、基本的に生後6ヵ月頃までは、母乳やミルクを飲むだけで赤ちゃんに必要な水分は補給できています。
実は、母乳の約88%は水分。赤ちゃんにとっては、母乳を飲むことで、栄養補給と水分補給を兼ねているのです。ミルクも同様で、必要な水分量を考慮して作られており安心です。
さらに、低月齢の赤ちゃんは、1日に何度も授乳を繰り返すことで水分量を調節しています。のどが渇けば泣いておっぱいやミルクを飲みたがり、のどの乾きが満たされれば泣き止む。この授乳リズムが、赤ちゃんの水分のコントロールにつながります。暑い日は授乳回数がいつもより増えることがありますが、赤ちゃんなりの水分調整なので心配はいりません。
厚生労働省の『授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)』では、「離乳の開始前の子どもにとって、最適な栄養源は乳汁(母乳又は育児用ミルク)であり、離乳の開始前に果汁やイオン飲料を与えることの栄養学的な意義は認められていない。」とあり、離乳前に果汁やイオン飲料を与える必要がないことがはっきりと示されています。
※参考:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
「母乳やミルクだけで本当にいいのかな」と迷うこともあるかもしれませんが、授乳のリズムが安定していて、おしっこがいつもどおり出ていれば、水分は十分に足りています。
それでも気になることがあるときは、かかりつけの小児科医や保健師・助産師の先生などに気軽に聞いてみてくださいね。
離乳食を始める頃(生後5ヵ月~6ヵ月頃)からの水分補給
母乳・ミルク以外の水分を取り入れる時期と注意点
離乳食が始まると、赤ちゃんは食べ物からも水分を摂れるようになり、それに合わせて、食事以外の水分補給にも少しずつ慣れていきます。
ただし、1才未満の赤ちゃんの場合、麦茶や湯冷ましでおなかがいっぱいになると、肝心の母乳やミルクの量が減ってしまうことがあります。この時期の母乳・ミルクは大切な栄養源。水分補給は、あくまで「補助」と位置づけましょう。
飲ませるタイミングは、離乳食のあとやお風呂上がり、お散歩から帰ったときなど、生活の流れの中で自然に取り入れるのがおすすめです。また、暑い時期の外出では、白湯や麦茶をこまめに飲ませてあげましょう。
0才~6才までのおすすめ飲み物リスト
お子さまの成長とともに、飲めるものの種類も広がっていきます。ここでは、それぞれの年齢ごとの基本的な目安をまとめました。
・麦茶(ノンカフェイン):離乳食開始頃~。3~4倍に薄めるか、ベビー用の製品を使うと安心です。薄める目安は「離乳食が完了する1才頃まで」が一般的です。1才を過ぎて食事のリズムが整ってきたら、大人と同じ濃さで与えても問題ないでしょう。
・湯冷まし・白湯:離乳食開始頃~。くせがなく、取り入れやすい飲み物です。
・水(軟水):1才頃~。硬度の高いミネラルウォーターは赤ちゃんの腎臓に負担がかかることがあるため、なるべく軟水やベビー用製品を選びましょう。赤ちゃんの腎機能は1才頃まで発達途上にあり、硬水に多く含まれるミネラル(カルシウム・マグネシウムなど)を処理しきれない場合があります。日本の水道水は軟水であるため、適切に煮沸すれば安心して使用できます。
・牛乳:1才を過ぎてから少量ずつ。飲み物としてそのまま与えるのは1才以降が目安です。最初は温めて少量から始めると、おなかへの負担を減らせます。
また、牛乳に含まれるカルシウムや乳タンパクは鉄の吸収を妨げる働きがあるため、飲みすぎると鉄分不足(鉄欠乏性貧血)につながる可能性があります。1才~2才では1日200ml程度を目安とし、食事の妨げにならないよう量に気をつけましょう。
※参考:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
※参考:厚生労働省「おいしい水道水を守る」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202007_00001.html
月齢別・年齢別 飲み物の早見表(~6才)
【凡例】
◎=積極的にOK / ○=OK / △=条件付き・少量 / ×=不要または非推奨 / ※=状況に応じて
水(軟水)/5ヵ月~6ヵ月
離乳食開始前後の時期は、まだ母乳・ミルクで必要な水分・栄養が補われるため、水を積極的に与える必要はありません。また消化機能が未熟なため、与えすぎると低ナトリウム血症(水中毒)のリスクがあります。
ベビー用イオン飲料/〜4ヵ月・5ヵ月~6ヵ月・7ヵ月~12ヵ月
糖分を含むため、日常的に与えると虫歯や糖分過多につながります。また、脱水が心配されるときも母乳とミルクが基本です。
ベビー用イオン飲料/1才・2才~3才・4才~6才
1才以降も同様に、糖分摂取と虫歯リスクの観点から常用は推奨されません。体調不良時の一時的な水分補給が主な用途です。
牛乳/1才
1才直後はまだ消化器官が牛乳に慣れていないため、最初は少量・加温から始める必要があります。また鉄の吸収を妨げる性質があるため、離乳食の妨げにならないよう量の管理が必要です。慣れてきたら○に移行します。
ジュース類/1才
糖分が多く、飲み口が甘いため食事や母乳・ミルクを嫌がるようになるリスクがあります。虫歯の原因にもなるため、与える場合は果汁100%のものを少量に限定するのが望ましいとされています。なお、WHOでは未就学児(1才〜)のジュースを1日120mlに制限するべきとしています。少なければ少ないほど良いと言われており、この基準は年々厳しくなっています。
ジュース類/2才~3才・4才~6才
糖分・虫歯リスクは継続します。この時期は自分で好みを主張するようになるため、習慣化しないよう量と頻度への注意が引き続き必要です。
ジュース・イオン飲料との付き合い方は?
麦茶や水以外のジュースやイオン飲料などをいつから、どの程度与えてよいのか。これは多くのママやパパが悩むテーマです。
「絶対ダメ」と考える必要はありませんが、ジュースは特別な場面のお楽しみに、イオン飲料は発熱・下痢・大量発汗時のサポートとして、使いどころを意識して取り入れましょう。
ベビー用イオン飲料と大人用の違いとは?
発熱時や暑い日に、「イオン飲料を飲ませたほうがいいの?」と迷うことがあるのではないでしょうか。
ベビー用のイオン飲料は、大人向けのスポーツドリンクと比べて糖分が控えめで、赤ちゃんの体に吸収されやすいバランスに調整されています。
熱を出したり、体調を崩したりしたときの水分補給としては心強い存在ですが、日常的に飲みすぎると糖分や塩分の摂りすぎにつながることもあります。また、暑い時期でもイオン飲料は不要です。体調不良で食事ができず、他の水分を取るのが難しい場合は、飲ませてみてもいいでしょう。
冷たい飲み物・ジュレは水分補給になる?
暑い季節になると、冷たいものを欲しがるお子さまも増えてきます。冷たい飲み物やジュレにも水分は含まれていますが、糖分が多いものは「水分補給」の役割としてはあまり期待できません。
冷たい飲み物は1才を過ぎた頃から少量ずつ与えるのが目安です。ジュレは「おやつ」として楽しむくらいにとどめ、普段の水分補給は麦茶や水を中心にしておくと安心です。
※参考:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
これって脱水?「気づき」のためのサインと暑さ対策
言葉で伝えられない赤ちゃん・幼児の「脱水サイン」
小さなお子さまは「のどが渇いた」と自分から伝えることができません。だからこそ、周りの大人が気づいてあげることが大切です。次のようなサインが見られたら、早めに水分を補給しましょう。
・おしっこの回数がいつもより少ない
・おしっこの色がいつもより濃い
・泣いているのに涙が出ない
・唇や口の中が乾いている
・ぐったりして元気がない
特に、お昼寝の後やたくさん泣いた後、外遊びの後などは水分が不足しやすくなります。「起きたら一口飲もうね」「遊んだら一口飲もうね」と、生活のリズムに合わせて声をかけて水分を補給する習慣をつけておくと、脱水を防ぎやすくなるでしょう。
受診の目安とホームケア
お子さまに次のような状態が見られたら、早めにかかりつけ医を受診しましょう。
・ぐったりして反応が鈍い
・おしっこが半日以上出ていない
・高熱が続いている
・嘔吐や下痢が繰り返し続く
家庭でできるケアとしては、少量ずつこまめに水分を与えることが基本です。一度にたくさん飲ませるとかえっておなかに負担がかかることもあるので、スプーンひとさじ、ひと口ずつを意識してみてください。
シーン別・日常のケアと外出時のマナー
お風呂上がりや日常の水分補給
お風呂上がりに赤ちゃんの頬が真っ赤になっていたりすると、「何か飲ませたほうがいいかな?」と気になりますよね。
新生児~低月齢のうちは、お風呂後に授乳すれば十分です。離乳食が始まっている場合には、お風呂上がりにすぐ飲める麦茶や湯冷ましを用意しておくと、スムーズに必要な水分を補給できるでしょう。
2才~6才くらいになると、着替えやお肌のケアなどで慌ただしく、水分補給がつい後回しになりがちです。「まずはコップ1杯の麦茶」を親子で一緒に飲むなど、ルーティンにしてしまうと続けやすいです。
一方、日中は遊びに夢中で水分補給を忘れがちです。「おやつの前にひと口飲もうね」「お外から帰ったら飲もうね」と声をかけて、飲む習慣を作ってあげましょう。
外出先でのマナーと衛生管理
お出かけ時は、飲み物の持ち歩き方や飲む場所にも気を配ると安心です。
公共の場では、こぼれにくいマグやストローボトルが便利。飲食が禁止されている場所では、無理に飲ませようとせず、場所を変えてからゆっくり水分を摂るように心がけましょう。
また、一度口をつけた飲みものは雑菌が繁殖しやすいため、時間が経ったものは処分してください。特に気温が高い季節は、作り置きや飲みかけのものは1〜2時間を目安に処分することをおすすめします。外出が長くなりそうなときは、水筒やペットボトルを別に準備し、マグにこまめに入れ替えるなどして対策しましょう。
外出先で完璧に管理するのはむずかしいもの。着替えや拭くもの等を持参して、「多少こぼしても何とかなる」くらいの気持ちでいるほうが、親子ともに気楽に過ごせますよ。
1才~6才の水分補給は、少しずつ自分でできるように
1才を過ぎると「自分でやりたい」という意欲が芽生えてきます。その気持ちを大切に尊重しながら、成長の段階に合わせて水分補給への関わり方も少しずつ変えていきましょう。
1才~3才 「自分でやりたい!」を応援する
盛大にこぼしても大丈夫。両手で持てるマグやこぼれにくいコップを活用しながら、「できたね」と認めてあげましょう。遊びながら飲んだり、途中でやめたりするのもこの時期の自然な姿です。無理に止めず、回数で調整しましょう。起床後・外出前・帰宅後など、決まったタイミングで声をかけてあげると、自然と習慣になっていきます。
4才~6才 のどが渇く前に飲む習慣を
運動量が増えるこの時期は、本人も気づかないうちに汗をかいていることが多くなります。「のどが渇いた」と感じたときにはすでに水分が不足しているサイン。渇く前に飲む習慣をつけることが大切です。「遊ぶ前にひと口、遊んだ後にひと口」を繰り返すうちに、自分の体の変化に気づく力が育っていきます。
※参考:環境省「熱中症環境保健マニュアル」
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php
※参考:消費者庁「子どもを事故から守る!プロジェクト」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/
よくある疑問(Q&Aサマリー)
赤ちゃんの水分補給に関するよくある悩みや疑問をQ&A形式でまとめました。
- Q:麦茶はいつから飲ませていいですか?
-
A:離乳食を始める生後5ヵ月~6ヵ月頃が一つの目安です。
それまでは母乳やミルクで十分に水分が摂れているので、あせる必要はありません。始めるときは、赤ちゃん用の麦茶をスプーンで一口ずつ試していくとスムーズです。
- Q:寝る前に飲み物をあげてもいいですか?
-
A:寝る前に少量の水や麦茶を飲ませるのは問題ありません。
ただし、ジュースなど糖分を含む飲み物は虫歯のリスクが高まるので、避けましょう。飲んだ後にガーゼで口の中をぬぐうか、歯みがきもセットで習慣にできるといいですね。
- Q:お茶を嫌がるときはどうすればいい?
-
A:味が苦手な場合は、湯冷ましや水から始めるのもひとつの方法です。
温度を少し変えたりコップやマグを替えたりするだけで飲んでくれることもあります。嫌がるときは無理強いせず、少し時間を置いてから再チャレンジするくらいの気持ちで大丈夫です。また、冬などあまり汗をかかない時期は飲まないことも多いでしょう。無理に飲ませず、食事中の水分で足りていると考えても大丈夫です。
- Q:水分を摂りすぎるとトイレが近くなりませんか?
-
A:お子さまによっては、水分を多く摂るとおしっこの回数が増えることもあります。
特にトイレトレーニング中は気になるかもしれませんが、水分をたくさん取ることは良いことです。おしっこの回数が増えても、トイレがうまくいくように誘導してあげましょう。お出かけのときは、事前にトイレを済ませる習慣をつけておくと安心です。
まとめ
水分補給の「ちょうどいい」は、月齢や季節、体調、その子の好みによっても変わります。「これが絶対」というやり方はないからこそ、お子さまの様子を見ながら、それぞれのご家庭に合ったペースを見つけていくことが大切です。
飲みやすいマグを選んだり、お出かけ用に赤ちゃん向けの麦茶を用意したりと、日々のちょっとした工夫が安心につながっていきます。みなさんのペースで、お子さまとの毎日を楽しんでくださいね。
監修してくれた先生
保田典子
小児科 | 高円寺こどもクリニック院長
2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務等を経て現職。小児科専門医、こどもの心相談医。一般診療、小児循環器診療に加えて、起立性調節障害や発達相談、漢方治療にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。2026年4月、子どものための訪問看護ステーション(ここる訪問看護ステーション)をオープン。3児の母。



