スキンケア
毎日、スキンケア
体の表面を保護し、体内の水分や体温を保つ役割を果たしている皮膚。外気や紫外線、摩擦や汚れなど、普段の生活の中で、皮膚は常にさまざまな外部刺激にさらされています。赤ちゃんの肌はとてもデリケートなので、少しの外部刺激でも肌トラブルが起こりがちです。赤ちゃんの肌をすこやかな状態に保ち、トラブルを起こしにくくするために、月齢や肌質によらず、毎日スキンケアしてあげることが大切です。
赤ちゃんの肌の特徴は
1.皮膚が薄い
赤ちゃんの皮膚の構造は大人とほぼ同じですが、全体的に皮膚は薄く、角質層の厚さが大人の約半分。そのため、ちょっとした刺激でも角質層がはがれ、バリア機能が低下してしまいます。
2. 皮膚のバリア機能が未発達
ほこりや細菌など有害な外部刺激が入ってこないように保護し、水分は出ていかないようにして乾燥を防ぐ働きを皮膚のバリア機能といいます。角質層を構成する角質細胞と、角質細胞の間を埋めるセラミド(細胞間脂質)がその働きの要。赤ちゃんの肌は大人に比べてバリア機能が未発達なので、肌トラブルを起こしやすいのです。
3. 皮脂が少なく乾燥しやすい
皮脂は肌の表面を保護し、水分の蒸発や有害物質の侵入を防ぐ役割を果たします。新生児期~生後2ヵ月頃までの赤ちゃんは、ママからもらったホルモンの影響で、一時的に皮脂の分泌が活発に。しかし生後3ヵ月頃からは、急激に皮脂の分泌量が減り、肌がかさつきがちになります。
4.汗が多い
汗を分泌する汗腺の数は赤ちゃんも大人もほぼ同じ。大人より体の小さい赤ちゃんは、皮膚の面積に対する汗腺の密度が高いため汗をかきやすいという特徴もあります。その上、新陳代謝が活発なので、汗や垢で皮膚が汚れやすいのです。
スキンケアのポイント
大人よりデリケートな赤ちゃんの肌。毎日のていねいなケアで、肌をよい状態に保ってあげましょう。
1.泡でやさしく洗う
ゴシゴシこするのは厳禁。洗浄料を十分に泡立てて、手でなでるようにしてやさしく洗います。洗浄料は赤ちゃんの肌に合った低刺激のものを選びましょう。泡で出てくるポンプタイプだと、片手でも使いやすく便利です。
2.洗浄成分を残さない
洗浄成分が肌に残っていると、それが刺激になってしまいます。とくに首のしわの内側や、腕・脚のくびれ、わきの下は洗い残しをしやすい部位なので、弱めのシャワーでしっかりと洗い流しましょう。
3.洗った後は、失われた水分をしっかり補う
おふろの後など、水分を拭き取った後の肌は急速に水分が失われます。ローションなどでしっかり保湿してあげましょう。また、顔やおしりなどが汚れたらすぐに拭いたり洗い流したりして、清潔を保つことも大切。汚れを落とした後はローションなどでしっかり保湿し、肌のバリア機能を高めましょう。
ベビー用スキンケア用品選びで大切なことは…
●低刺激のもの
●うるおいをしっかり補えるもの
手間のかかるおふろや毎日のケアで使い勝手のよいことも重要です。
保湿剤の使い分けは?
保湿アイテムには、ローション、クリーム、ワセリン、オイルなどのタイプがあります。季節や赤ちゃんの肌の状態で使い分けるのがポイントです。初めて使うものは、必ず試し塗りをしてから使うようにしましょう。
ローション
おふろ上がりなどに全身を保湿するのにぴったりです。化粧水タイプはさっぱりしているのでベタつきが気になる時期や頭皮の保湿ケアに、乳液タイプは化粧水タイプに比べてしっとりするので乾燥しやすい時期に向いています。季節や肌の状態などで使い分けましょう。
クリーム
ローションに比べて油分が多く含まれているので、手・顔・ひじ・ひざ・かかとなどのかさつく部分に。乾燥がひどいときは、ローションを塗った上にクリームを重ね塗りするのもおすすめ。
ワセリン
乾燥が激しいときなどに、ローションの上にワセリンを重ね塗りすることで、ふたとなって保湿効果が高まります。肌を保護してくれるので、口の周りに塗るとよだれや離乳食で肌が荒れるのを防ぎやすくなり、軽いおむつかぶれにも使えます。
オイル
おむつかぶれ予防や、鼻・耳・おへそなどのポイントケアに。また、乾燥しやすいところには、ローションの上から重ね塗りをして保護するのにもおすすめ。おなかや背中などの広い場所の重ね塗りに活用しやすいアイテムです。
つけ方のコツは?
1.肌を清潔にし、たっぷりと皮膚に乗せるように塗りましょう。ティッシュが貼りつくぐらいが目安です。
2.赤ちゃんの体の上に点々と保湿剤を置いてから、やさしく軽くなでるように塗り広げるのがポイント。肌への刺激になってしまうので、力を入れてこすらないようにしましょう。
3.クリームやローションは手のひら全体で、オイルでポイントケアをする時は綿棒につけて使うと便利。
監修してくれた先生
馬場直子
神奈川県立こども医療センター皮膚科部長、横浜市立大学皮膚科臨床教授
1983年滋賀医科大学医学部卒業、1994年横浜市立大学皮膚科講師を経て、神奈川県立こども医療センター皮膚科部長、2015年より横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼務。日本皮膚科学会専門医。専門分野は小児アトピー性皮膚炎、母斑、血管腫、皮膚感染症など小児皮膚科学全般。