幼児食の疑問を解決!困ったときのQ&Aと栄養満点レシピ6選

幼児食って、なに?

離乳食を終えた赤ちゃんが、家族と同じ食事へと移行する過程で食べる食事を「幼児食」といいます。一般的には、1才半~2才ごろから5~6才ごろまでの期間に食べる食事を指します。幼児食は、お子さまの成長に合わせて食べやすい形や固さ、味付けを考慮しているだけでなく、心身の発達に欠かせない栄養を摂取し、「食べる力」を育み、さらに将来の食習慣の基礎を作る大切な役割を担っています。

幼児期に必要な栄養

幼児期は心身の発達が著しく、生涯の健康の基礎を築くうえで非常に重要な時期です。そのため、バランスの取れた食事を通して、必要な栄養素をしっかり摂ることが大切です。なかでも、特に重要な栄養素は以下のとおりです。

● たんぱく質

筋肉や骨など、体を作る材料になります。

● カルシウム

丈夫な骨や歯を作る上で欠かせません。

● 鉄分

脳の発達や血液を作るために必要です。

● ビタミン類

免疫力を高め、カルシウムの吸収を助けるなどの働きがあります。

● 食物繊維

腸内環境を整え、便秘を防ぎます。

幼児食のポイント

栄養バランスを考えよう

幼児食を作るうえでまず大切なのは、お子さまの成長に欠かせない栄養をバランスよく献立に取り入れることです。そのために、お子さまが食事に興味を持てるように工夫することもポイントです。主食、主菜、副菜を組み合わせ、食材の色や形に変化をつけて盛り付けを工夫すると、栄養バランスを整えやすくかつ、お子さまが興味をもつきっかけになります。また、この時期は食べ物の好みや食べ方が変わりやすいので、お子さまの様子を見ながら、食材の柔らかさや味付けを調整することも試してみてください。

必要な栄養素をしっかり摂ろう

幼児期に必要な栄養素は多岐にわたりますが、穀物・野菜・果物・たんぱく質源・乳製品の5大食品群をまんべんなく摂取すれば安心です。魚や肉、豆製品からたんぱく質・脂質を、季節の野菜や果物からビタミンを、海藻や豆類、野菜などからミネラルを、乳製品からカルシウムを、肉や豆類から鉄分を摂取できるため、成長を支える栄養素をしっかりと取り入れることができます。

幼児食にとくに必要な5大食品群 ・乳製品:カルシウムやビタミンDが豊富で、骨の健康をサポートします。 ・穀物:エネルギー源としての重要な役割を果たす食事の基本です。 ・たんぱく質源:体の成長や健康を維持するために不可欠な栄養素です。 ・野菜:健康維持に不可欠なビタミンやミネラルを豊富に含みます。 ・果物:ビタミンCや抗酸化物質が豊富で、デザートとしても楽しめます。

食品群を上手に取り入れて、楽しい食卓を作ろう

5大食品群をバランスよく取り入れることで、食卓を豊かにすることもできます。主食、主菜、副菜だけでなく、時にはデザートや果物を加えてみましょう。献立を考える際には、「ひな祭りにはちらし寿司」「クリスマスにはローストチキン」といったように、イベントに合わせたテーマを設けたり、お子さまと一緒に料理をしたりするのもおすすめです。ますます毎日の食事が楽しくなり、食育にもつながりますよ。

幼児食の進め方ガイド

栄養バランスが大切だとは分かっていても、毎日、栄養を考えながら食事を作るのは大変ですよね。でも、ちょっとした工夫で、栄養満点でお子さまが喜ぶ食事が作れます。

食事の回数と量

幼児食は、1日に4~5回に分けてあげるのがおすすめです。一度にたくさん食べられないお子さまのためにも、少しずつ、こまめにあげるようにしましょう。

どれくらいの量の食事あげたらいいのか悩みますが、できるだけお子さまの年齢や成長に合わせて、量を調整していきたいところ。目安としては、大人の半分くらいの量から始めるのがおすすめです。小さめのお皿に盛り付けると、量が調整しやすいですよ。

食事の時間帯

毎日の食事の時間を決めることも、幼児食を進めるうえでの大切なポイントです。

・朝ごはん:起きたら、まず、一日の元気をチャージ!
・昼ごはん:午前中の活動で、お腹ぺこぺこ!
・夕ごはん:寝る2~3時間前に、ゆっくりご飯タイム!

たとえばこのように、毎日同じ時間に食事をすることで、お子さまの生活リズムが整います。そして、何よりも大切なのは、ご飯の時間を楽しむことです。お子さまに「おいしいね!」「楽しいね!」と声をかけながら、笑顔いっぱいの食事タイムを過ごしてくださいね。

お子さまが喜ぶ幼児食のレシピ集

彩り豊かで、栄養も満点な幼児食レシピをご紹介します。なお、あくまでも分量は目安なので、お子さまの成長に合わせて量を調節してください。

主食のレシピ

主食は体を動かすパワーになります。楽しく食べられそうなレシピを2つ紹介します。

● ビタミンたっぷり!カラフルおにぎり(3才~)

材料(子ども1人分)
  • ・ごはん:100g
  • ・にんじん:1/8本(すりおろし)
  • ・青のり:小さじ1/2
  • ・塩:少々
作り方
  1. ごはんを2等分にする。
  2. 一方のごはんにすりおろしたにんじん、もう一方のごはんに青のりを混ぜる。
  3. それぞれに塩を少々加えて、好みの形におにぎりを作る。

● お野菜たっぷり!親子パスタ(3才~)

材料(大人2人+子ども1人分)
  • ・スパゲティ:250g
  • ・玉ねぎ:1/4個
  • ・にんじん:1/4本
  • ・ピーマン:1個
  • ・ツナ缶:1缶
  • ・トマトソース:大さじ4
  • ・塩:少々
  • ・オリーブオイル:大さじ1
  • ・大人用の味付け:黒こしょう、パルメザンチーズ(お好みで)
作り方
  1. スパゲティを指定の時間でゆで、大人分を取り出し、子ども分はさらに1分余分にゆでる。(より柔らかくするため)
  2. 野菜を細かく刻む。
  3. フライパンで野菜を炒め、ツナとトマトソースを加える。
  4. ゆで上がったスパゲティを加え、塩で味を調える。
  5. 大人用には、黒こしょうとパルメザンチーズをお好みで加える。

副菜のレシピ

体の調子を整えてくれる野菜を使った、副菜のレシピを2つ紹介します。

● 食物繊維たっぷり!野菜の煮物(3才~)

材料(大人2人+子ども1人分)
  • ・大根:200g
  • ・にんじん:100g
  • ・しいたけ:4個
  • ・だし汁():400ml
  • ・しょうゆ:大さじ2
  • ・みりん:大さじ2
作り方
  1. 大根、にんじん、しいたけを食べやすい大きさに切る。
  2. 鍋にだし汁と切った野菜を入れ、柔らかくなるまで煮る。
  3. しょうゆとみりんを加え、さらに煮込む。
※だし汁のつくり方
基本のだし汁

材料

  • ・昆布:10g
  • ・かつお節:10g
  • ・水:400ml

作り方

  1. 鍋に水と昆布を入れ、30分ほど置いておく。
  2. 弱火にかけ、沸騰直前で昆布を取り出す。
  3. 沸騰したら火を止め、かつお節を加える。
  4. かつお節が沈んだら、キッチンペーパーなどでこす。
かんたんなだし汁

材料

  • ・顆粒だし:小さじ1
  • ・水:400ml

作り方

  1. 鍋に水と顆粒だしを入れ、火にかける。
  2. 沸騰したら火を止める。

● ビタミン豊富!お野菜たっぷりスープ(3才~)

材料(子ども1人分)
  • ・キャベツ:30g(葉1枚程度)
  • ・トマト:1/4個(中玉の場合)
  • ・コーン(冷凍):大さじ1~2
  • ・ブロッコリー:2~3房(小さなもの)
  • ・洋風スープの素(顆粒コンソメなど):小さじ1/4
  • ・水:150ml
作り方
  1. キャベツ、トマト、ブロッコリーを食べやすい大きさに切る。
  2. 鍋に水とキャベツを入れて火にかけ、柔らかくなるまで5分程度煮る。
  3. トマト、コーン、ブロッコリーを加え、さらに2~3分煮る。
  4. 洋風スープの素を加えて溶かし、味が薄ければ少量足して調整する。

おやつのレシピ

簡単に作れるおやつのレシピを紹介します。

● 自然な甘さ!きなこヨーグルト(3才~)

材料(子ども2人分)
  • ・無糖ヨーグルト:200g
  • ・きなこ:大さじ1
  • ・てんさい糖:小さじ1(お好みで調整)
作り方
  1. ヨーグルトにきなことてんさい糖を加えてよく混ぜる。

● カルシウムたっぷり!手作りクッキー(3才~)

材料(子ども1人分)
  • ・薄力粉:30g
  • ・バター:15g
  • ・砂糖:10g
  • ・牛乳:小さじ半分
作り方
  1. バターを室温に戻し、砂糖と混ぜ合わせる。
  2. 薄力粉と牛乳を加え、生地をまとめる。
  3. 生地を型抜きし、180℃に予熱したオーブンで10~12分ほど焼く。

食事の工夫アイデア集

色とりどりの食材を使った盛り付けで、楽しさアップ

幼児期のお子さまが喜ぶ食事作りのコツは、視覚的な魅力を大切にすることです。子どもたちは目で見て食欲が刺激されるので、トマトやにんじんの赤、ブロッコリーやほうれん草の緑、コーンやかぼちゃの黄色、大根やカリフラワーの白など、さまざまな色の食材を一皿に取り入れると、食事が一層楽しくなります。彩り豊かな盛り付けは、お子さまの食への興味を自然と引き出してくれることでしょう。

食べることへの興味を引き出す工夫

幼児が食べることに興味を持つようになるには、食材選びや調理法の工夫も大切です。お子さまの好奇心を刺激する方法はさまざまありますが、以下のポイントを意識してみてください。

● 食材の選び方

食べることへの関心を高めるには、季節の旬の食材を取り入れることも効果的です。旬の食材は味が良いだけでなく、季節感を感じられる楽しさもありますよ。

● 調理法の工夫

お子さまと一緒に食材を選んだり、野菜をちぎったり、おにぎりを丸めるたりするなど、調理の一部を手伝ってもらうことで、食事への参加意識が生まれます。こうした体験はお子さまの食への興味を深めることにつながります。

幼児食の注意点

お子さまの心身がぐんぐん成長する幼児期。この時期の食事は、将来の食習慣作りにも大きく関わってきます。

添加物や加工食品についてのガイドライン

幼児期のお子さまは添加物の影響を受けやすいと言われています。できるだけ新鮮な野菜や肉、魚を使ったおうちごはんを選べると良いですね。加工食品を選ぶときは、パッケージの原材料表示を注意深く見てみましょう。化学調味料や保存料、着色料などがたくさん使われている食品は、できれば避けてあげたいところです。便利な加工食品は、忙しい時や外出時などに上手に活用するのがおすすめです。

幼児食が健康に与える影響とは?

バランスよく食べることで、お子さまの体はすくすく育ち、風邪などにも負けない強い体になっていきます。特にお魚に含まれるDHAやEPAは、脳の発達にとても大切な栄養素です。また、いろいろな味や食感を経験することで、「好き嫌い」が少なくなり、将来の食習慣の土台ができていきます。この時期に身につけた食べる習慣は大人になってからもずっと影響するので、楽しく食べながらバランスよく食事ができるといいですね。

幼児食についてのよくある疑問と専門家からのアドバイス

ここでは、幼児を育てているママやパパからのよくある質問と小児科医からのアドバイスを紹介します。

幼児食に関するQ&A

Q1:幼児食はいつから始めればいいの?
A:離乳食が終わる頃(1才から1才半くらい)から徐々に大人と同じような食事に近づけていくといいですよ。もちろん、お子さまの成長に合わせて進めてくださいね。
Q2:うちの子、好き嫌いが多くて心配です。どうしたらいい?
A:無理に食べさせようとせず、まずは好きなものから少しずつ始めてみましょう。ママやパパが「おいしいね!」と食べる姿を見せるのも効果的ですよ。同じ食材でも調理法を変えることで食べてくれるようになることもあります。
Q3:どのくらいの量を食べさせればいいの?
A:大人の1/3~1/2くらいが目安ですが、お子さまによって差がありますし、その日の体調や遊んだ量によっても食欲は変わります。「もうお腹いっぱい」というサインを大切にしてあげましょう。
Q4:おやつは何をあげるといいですか?
A: フルーツやヨーグルト、手作りの蒸しパンなど栄養たっぷりのものがおすすめ。次のご飯の時間に影響しない程度の量で、時間を決めてあげるといいですよ。
Q5:食物アレルギーが気になります。どうしたらいい?
A:心配なことがあったら、自己判断せずにお医者さんに相談してくださいね。お医者さんのアドバイスに従いながら、アレルギーの原因となる食品を避けつつも、栄養バランスを保つ工夫をしましょう。

小児科医からのアドバイス

旬のものを取り入れると自然と体に良い食事になります。一度にあまり量を食べられなくても、栄養たっぷりの食事を一日に何回かに分けて食べることで、必要な栄養をしっかり摂ることができますよ。また、お子さまの食への興味喚起・食欲アップという観点からも、家族みんなで楽しくおしゃべりしながら食べる時間を作れると理想的ですね。

楽しい幼児食で健やかな成長を

幼児食は、お子さまの成長に合わせた食事であると同時に、家族の絆を育む大切な機会でもあります。最初から完璧を目指さず、楽しみながら進めていきましょう。色とりどりの食材や季節の味わいを少しずつ取り入れることで、お子さまの健やかな成長「食べることが楽しい」という気持ちを育むことができます。幼児食を通じて、健康な体と豊かな心を育てていきましょう!

監修してくれた先生

五藤 良将(ごとう よしまさ)先生 五藤 良将(ごとう よしまさ)

所属:医療法人社団五良会 竹内内科小児科医院 院長
医療法人社団五良会 理事長
経歴:千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。
資格:医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、日本美容内科学会評議員

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