月齢別の量・選び方と簡単レシピ3選 赤ちゃんのおやつはいつから?
おやつは「補食」と捉えよう!
小さなお子さまにとって、おやつには「補食」という大切な役割があります。子どもの胃は大人の1/3~1/5程度と小さく、3回の食事だけでは成長に必要な栄養を十分に摂ることが困難だからです。
なぜ乳幼児におやつが必要なの?
お子さまにとってのおやつは「第4の食事」
成長期のお子さまは基礎代謝が高く、エネルギー消費も激しいため、こまめな栄養補給が必要です。おやつは食事だけでは不足しがちな栄養を補う「補食」として、お子さまの健やかな成長を支える重要な役割を果たします。
たとえば、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1〜2才頃の推定エネルギー必要量は1日あたり約950kcal、3〜5才頃では1300〜1400kcalとされています。これを3回の食事だけでまかなおうとすると、1回の食事量が多くなりすぎてしまうことも。そこで、おやつで不足分を補うことにより、子どもにとって無理のない形で栄養を確保できるのです。
おやつで乳幼児期に不足しがちな栄養を補おう
乳幼児期は成長が盛んな時期ですが、食事だけでは十分に摂りきれない栄養素があります。特に不足しがちなのは以下の栄養素です。
・カルシウム(骨や歯を丈夫にするために必要)
・鉄分(脳の発達と血液づくりに必要)
・ビタミン類(病気に負けない体づくりに必要)
これらの栄養素を含むおやつを選ぶことで、不足分を効率よく補うことができます。
月齢別!おやつの取り入れ方
おやつは月齢によって適切な内容や与え方が大きく異なります。そのため、お子さまの成長段階に合わせて、おやつの内容や量を変化させていくことが大切です。
1.乳児期(生後0~11カ月頃)
0~6カ月頃:
この時期は基本的に母乳やミルクで十分な栄養が摂れているため、無理におやつを与える必要はありません。
7~8カ月頃:
離乳食が順調に進んでいれば、口の中で溶ける赤ちゃん用のせんべいなどを少量与えることができます。まずは食べ物を口に入れる練習として活用しましょう。
9~11カ月頃:
手づかみ食べが始まる時期です。小さく切った蒸しパンや、手で持てるサイズの軟らかいおやつなどがおすすめです。
2.幼児期(1~6才頃)
1~2才頃(補食への移行期)
- 目安量
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1日100〜150kcal程度(小さなおにぎり1個分程度)
- タイミング
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午前と午後の2回に分けて
- おすすめ内容
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小さなおにぎり、季節の果物、無糖ヨーグルト、チーズなど
この時期から、おやつも「食事の一部」として意識的に栄養価の高いものを選ぶことがおすすめです。
3~6才頃(食事への意識)
- 目安量
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1日150〜200kcal程度(おにぎり1個とヨーグルト1個分程度)
- 内容
-
食事により近い補食(具入りおにぎり、野菜入り蒸しパンなど)
年齢が上がるにつれて、おやつの内容も食事により近いものにしていくことで、バランスが良い栄養摂取が期待できます。
実践アドバイス! 補食におすすめのおやつの選び方
理想的なおやつの選び方
補食としての理想的なおやつは、「栄養価が高い」「適度な満足感がある」「消化が良い」の3つを兼ね備えたものです。そのため、おやつを選ぶ際は、できるだけ特定の食品に偏らず、以下の4つのカテゴリーから組み合わせるのがおすすめです。
・炭水化物系: おにぎり、さつまいもなど
・タンパク質系: チーズ、ゆで卵など
・野菜系: 野菜スティック、野菜入り蒸しパンなど
・果物系: 季節の果物、ドライフルーツなど
おやつに添える飲み物の与え方
お子さまにおやつと一緒に与える飲み物は、水や麦茶が基本です。牛乳は栄養価が高く、カルシウムやタンパク質の補給にもなりますが、飲みすぎると食事に影響することがあるため適量を心がけましょう。
ジュースやイオン飲料は糖分が多く含まれているため、日常的な水分補給としてではなく、特別な時の楽しみとして位置づけることをおすすめします。
市販のおやつを選ぶ際のポイント
市販のおやつを選ぶ際は、なるべく原材料表示を確認できるとよいですね。材料は使用量の多い順に記載されているため、砂糖や食塩が最初の方に書かれているものは控えめにすることがおすすめです。また、添加物の種類や量も確認し、できるだけシンプルな原材料のものを選びましょう。
年齢表示やアレルギー表示も重要なポイントです。パッケージの栄養成分表示を見て、タンパク質やカルシウム、鉄分などが含まれているものを選ぶと、補食としての役割を果たしやすくなります。
外出時のおやつの選び方や注意点
外出時のおやつは、持ち運びやすさと衛生面を重視して選びましょう。個包装されているものや、崩れにくい固形のおやつがおすすめです。気温が高い日は傷みやすいものは避け、保冷剤を活用することも大切です。
また、公共の場所では状況によっては周りへの配慮も必要になるかもしれません。音が出るパッケージやこぼしやすいものはなるべく避ける、においの強いものを控えるなど、利用する場所に応じて配慮することもおすすめします。食べ終わった後のゴミの処理も考慮し、ゴミ袋やウェットティッシュなども一緒に持参すると便利です。
簡単手作りおやつレシピ
忙しい日常の中でも手作りおやつを楽しみたいママ・パパに向けて、美味しい手作りレシピをご紹介します。
おやつ作りのときに注意すること
おやつ作りの際は、以下の点に注意しましょう。
・初めて与える際は少量から食べさせるようにしましょう。
・食物アレルギーの有無を事前に確認しておきましょう。
・食べ終わるまでお子さまから目を離さないようにしましょう。
・のどにつまらせないよう、おんぶしているときや横になっているときは与えないでください。また、飲み物も一緒に用意しておきましょう。
・オーブンやレンジを使用するときはお子さまが触らないよう十分に注意してください。
手作りおやつレシピ紹介
ここでは手作りおやつのレシピを3種ご紹介します。なお、分量はあくまでも目安ですので、お子さまの成長段階や食べる量に合わせて調節してください。3才頃のお子さまであれば、形を作る過程などを一緒にお手伝いしてもらってもよいでしょう。
1.野菜入りふんわり蒸しパン(9カ月頃から)
野菜風味の蒸しパンに、にんじんの自然な甘みが特徴の「ぎゅぎゅっと野菜」を加えると、さらに奥深い甘さに仕上がります。月齢に合わせた形状に成形することで、野菜をおいしく摂取できます。
【材料(1つ分)】
- ・「レンジで蒸しパン」かぼちゃ&にんじん:1個
- ・「ぎゅぎゅっと野菜」オレンジのぎゅぎゅっと野菜:小さじ1(5ml)
- ・水:大さじ1(15ml)※つくりたい形状に応じて調節する
【作り方】
- 「レンジで蒸しパン」の粉に「ぎゅぎゅっと野菜」を混ぜ込みます。
- 水を加えて混ぜ、練乳くらいのとろりとした状態にします。
- レンジで約40秒(600w)加熱します。
- 完全に冷ましたら完成です。
2.お米のミニパンケーキ(9カ月頃から)
お米を使用しているため消化が良く、トッピングのヨーグルトでタンパク質とカルシウムもプラスされます。
【材料(直径6〜8cm 1枚分)】
- ・「お米のパンケーキ」プレーン:大さじ2(約18g)
- ・水:大さじ1弱(約13g)
- ・プレーンヨーグルト:大さじ1(15g)※トッピング用
- ・サラダ油:少々(フライパンに敷く用)※必要に応じて
【作り方】
-
材料を小さめのボウルに入れ、ダマが無いようにしっかり混ぜ、練乳くらいのとろりとした状態にする。
※水のようにサラサラになった場合は、本品を少しずつ足す -
フライパンを中火で熱し、温まったら弱火にする。
・鉄製のフライパンを使う場合は、加熱前に油を薄く引いてください。
・ホットプレートで作る場合は、温度を150℃位に設定してください。 - お子さまの好みに合わせたサイズに焼きます。
-
全体的に泡がぽつぽつと出てきたら裏返す。裏面がきつね色になるくらい火が通ったら出来上がり。
※袋を使って作ったときは、粉が袋底にたまらない様に時々袋を振る。 - 完全に冷ましてからヨーグルトを少量つけたら完成です。
3.野菜入りぱくぱくパン(9カ月頃から)
「お米のパンケーキ」に「オレンジのぎゅぎゅっと野菜」を混ぜるだけで、お子さまが喜ぶ野菜のパンが作れます。にんじんを主体としたやさしい甘みで、野菜が苦手なお子さまでも抵抗なく食べられます。月齢に応じて形状を変えることで、手づかみ食べの練習にも最適です。
【材料(4本分)】
- ・「お米のパンケーキ」プレーン:60g
- ・「ぎゅぎゅっと野菜」オレンジのぎゅぎゅっと野菜:小さじ2(10ml)
- ・牛乳:25~30ml(手で成形できる固さまで少しずつ調整)
- ・オリーブオイル:小さじ半分(2.5ml)
【作り方】
- 「お米のパンケーキ」と「ぎゅぎゅっと野菜」をよく混ぜます。
- オリーブオイルを加えて混ぜます。
- 牛乳を25mlから少しずつ加え、手で成形できる固さに調整します。
- 月齢に応じた形状(※表参照)に成形します。
- オーブントースター(160℃)で表面が薄く色づくまで焼き、触って固いようなら焼き上がりです。
- 完全に冷ましたら完成です。
おやつについてのよくある疑問に対するQ&A
ここでは、ママやパパからのよくある質問と、それに対する専門家の視点でのアドバイスをご紹介します。
- Q1.おやつばかりでご飯を食べない時はどうしたらいいの?
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A:おやつの時間を決めて、食事の2〜3時間前には終わらせることがおすすめです。
空腹感は食欲を促す大切なサインですので、適度な空腹時間も必要です。また、おやつの量やタイミングも見直してみましょう。
- Q2.手作りと市販品、どちらが良いの?
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A:どちらにもそれぞれの良さがあります。
手作りすることで添加物を控えられますが、忙しい日常では市販品も大切な味方です。市販品を選ぶ際は原材料表示をチェックし、ご家庭に合うものを選択することが一番大切です。
- Q3.おやつと虫歯の関係が心配です。
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A:おやつの時間を決めてだらだら食べを避け、食後は水やお茶で口をすすぐなどして適切なケアを行いましょう。
心配な場合は、定期的な歯科検診で専門家にご相談ください。
- Q4.食物アレルギーがある場合の注意点は?
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A:原材料表示を必ず確認し、除去した食材に代わる栄養源を意識して補給しましょう。
不安がある場合は、自己判断せずに必ず医師にご相談ください。
親子で楽しく続けられるおやつ習慣を
おやつを「補食」として捉えることで、お子さまの成長にとって必要な栄養を効率よく摂取できます。完璧を求めすぎず、お子さまの成長や好み、ご家庭の状況に合わせて柔軟に対応することが大切です。お子さまとの楽しいおやつの時間を過ごしてくださいね。
監修してくれた先生
武井智昭
小児科|高座渋谷つばさクリニック院長
2002年慶應義塾大学医学部卒業。立川共済病院、平塚共済病院小児科医長、北里大学研究所での研究活動を経て、複数のクリニックで小児科・内科診療に従事。2020年より現職。小児科専門医・指導医、日本小児感染症学会認定医・ICD、抗菌化学療法認定医、プライマリケア認定医、認知症サポート医、医学博士。
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