社会性が育ち、集団生活を楽しむ頃 5才頃のお子さま
からだ
身長は約2.2倍、体重は生まれたときの約6倍に
- 5才頃
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- 体重
- 約14.9~22.1kg
- 身長
- 約102~117cmくらい
全身のコントロールが上手に
体を動かすことへの自信が育ち、新しい動きにも積極的に挑戦する姿が見られるようになる時期です。
縄跳び、鉄棒の前回りなど、複雑な動きをスムーズにこなせるお子さまが増えます。ボール遊びもより高度になり、お友達と一緒にキャッチボールやドッジボールなどを楽しむ姿も見られるようになります。
細かい作業がより正確にできるように
集中力が高まり、最後まで完成させる意欲が育ちます。お箸で小さなものをつまむ、ひらがなを書く、複雑な工作を楽しむなど、手先の器用さがさらに発達します。折り紙で難しい形を作ったり、細かいパーツを組み合わせたりする作業を楽しむお子さまも見受けられます。
できたことを一緒になって喜び、うまくいかないときには「もう少しでできそうだね」と寄り添う姿勢が、お子さまの挑戦する気持ちを支えます。
生活
自分で食べる力とマナーが育つ時期
お箸を正しく使い、ほぼこぼさずに食事ができるようになってくる時期です。「お茶碗を持って食べる」「食べ物を口に入れたまま話さない」といった食事マナーを理解できるお子さまも増えます。
また、栄養への関心も芽生え始め、「これを食べると元気になるよ」といった話に興味を示すことも。好き嫌いがある場合は無理強いせず、調理法を工夫したり、一緒に料理を楽しんだりすることで、食べられるものが増えていくこともあります。
まずは、家族での食事を楽しい時間にすることが、健やかな食習慣を育むポイントです。
明日の準備など、先を見通して行動できるように
着替え、幼稚園の準備、手洗い・うがいなど、一連の生活動作を声かけなしで自ら行う姿を目にする機会も増えるころ。また、「明日は体操着が必要」など、先を見通して行動する力も育ってきます。
4才頃までは今日のことで精一杯でしたが、5才になると徐々に明日のことを考えて準備ができるようになります。ただし、まだ完璧ではありません。「明日の準備はできたかな?」と一緒に確認することで、習慣として定着していくでしょう。
「時間」を意識できるようになります
時計に興味を持ち、「昨日」「今日」「明日」を区別できるようになる時期です。4才頃までは大まかな時間の流れを理解する程度ですが、5才頃になるとより具体的な時刻や日付を理解できるようになっていきます。
行事の体験などを通して、「何月、何日、何曜日」といった時間認知も少しずつできるようになります。「長い針が6になったらおやつの時間」など、生活の中で時間を意識し始め、時間を守ることの大切さにも気づいていく時期です。
一日の生活リズムの一例
ここでは、5才のお子さまの1日の生活リズムの一例をご紹介します。このスケジュールは、あくまでも一例です。お子さまの機嫌や体調、お昼寝の有無のほか、ママやパパのお仕事の都合など、各ご家庭の状況に合わせてアレンジしてください。大切なのは「完璧にこなすこと」よりも、「同じような流れ」を意識すること。毎日似たようなリズムで生活を送ることで、お子さまも先の見通しが持て、気持ちが安定するでしょう。
起床
まずは、カーテンを開けて日の光を浴びるようにしましょう。日の光は、体内時計をリセットする効果を持ちます。
さらに、就寝時間に多少のばらつきがあったとしても、起床時間を一定にすることで体内時計が整います。毎朝同じ時刻に起きる習慣を身につけることで、夜の寝つきが良くなり、生活リズムが安定します。
朝食
朝食には、睡眠中に消費したエネルギーを補給する大切な役割があります。朝食をとることで内臓が働き始めて体温が上昇し、体が活動的なモードに切り替わります。
また、朝食が胃に入る刺激で腸の動き(蠕動運動)が活発になり、自然な便意が起こりやすくなります。これにより、朝に排便する習慣がつきやすくなるのです。「朝食を食べる」という習慣を身につけることは、その後の健康的な生活の基盤となります。
おやつ
おやつは、食事だけでは不足しがちな栄養を補う「第4の食事」(補食)とも呼ばれ、お子さまの成長を支える重要な役割を持っています。また、おやつの時間は、お子さまが心と体をリフレッシュできる「楽しい時間」でもあります。
お風呂
親子で一緒にお風呂に入る時間は、大切なスキンシップの時間です。お子さまの「自分でやりたい」という気持ちを尊重しつつも、浴槽内やぬれた床での転倒、シャワーの温度、長湯、湯冷めなどには注意が必要です。また、お風呂の前後には水分補給も忘れずに(夜尿症のお子さまは、医師に相談してください)。
おもちゃで遊んだり、歌をうたったり、今日の出来事を話したりするなど、リラックスできる楽しい雰囲気を作ることが、お子さまにとってもご家族にとっても心地良いお風呂タイムにつながります。
自由時間(就寝準備)
ここでの一番のポイントは、前後の時間の過ごし方も含め、「毎日なるべく同じ流れを繰り返すこと」です。
「お風呂に入る → 歯を磨く → トイレに行く → 絵本を読む → 電気(明かり)を暗くする → おやすみなさい」といった決まったルーティンを作ることで、お子さまの心と体に「これから寝る時間だ」という合図が送られ、スムーズな入眠につながります。毎日同じ流れを繰り返すことで、自然と体が睡眠モードに入りやすくなるのです。
※なお、このスケジュールは幼稚園児(お昼寝なし)を想定しています。保育園でお昼寝をする場合は、夜の就寝時刻が20:30~21:00頃になることもありますが、お昼寝と夜の睡眠を合わせて1日の総睡眠時間(10~13時間)が確保できていれば問題ありません。
ランドセル選びを始めるご家庭も
ランドセル選び(ラン活)は、入学の1年前から始めるご家庭が多く、年中の冬頃(1~2月)からカタログ請求が始まります。人気のモデルは春から初夏(3~5月)にかけて完売することもありますが、近年は年間を通して購入できるメーカーも増えています。
選ぶ際は、お子さまの体格に合った重さ(1.2kg前後が目安)や背負いやすさ、A4フラットファイル対応、6年間保証などを確認しましょう。お子さまの好きな色やデザインも大切にしながら、実際に背負って確かめてみることをおすすめします。ランドセル選びの時間を、ぜひ親子で楽しんでください。
また、年中の終わり頃には、どのくらい読み書きができるかを意識してもいいでしょう。必ずしも読み書きができる必要はありませんが、絵本の読み聞かせなどを通して、文字や言葉に触れる機会を作ることが大切です。「自分の名前を書いてみたい」「好きな絵本の文字をまねしてみたい」といった自然な関心が芽生えることが、学びの意欲につながります。
こころ
言葉の表現力がさらに豊かに
この頃になると、語彙が約2,000~3,000語に増え、過去・未来のことを話せるようになるお子さまも。「昨日ね、公園で〇〇して遊んだんだよ」「明日は△△に行くんだ」など、出来事を順序立てて説明する姿も見られるようになります。また、しりとりやなぞなぞなど、言葉遊びも楽しめるようになり、言葉の面白さを発見していく時期です。
「自分でできる」喜びと責任感が育つ時期
お手伝い係や当番など、役割を任されることに誇りを持つようになります。責任を持って行動することで、自信と責任感が育ち、達成感を味わう大切な時期です。「ありがとう、助かったよ」「さすがだね」といった言葉かけが、お子さまのやる気をさらに引き出します。ご家庭でも、小さな役割を任せて認めることで、お子さまの自己肯定感がより高まっていくでしょう。
お友達との協力や思いやりが育ちます
お友達と協力して遊ぶ、困っているお友達に声をかけるなど、思いやりの気持ちが育つ時期です。共感する力が発達し、「〇〇ちゃん、泣いているよ。どうしたのかな」と相手の気持ちを考えられるようになります。また、複数人のグループで、目的に向かって一緒に行動する経験を通し、社会性を学んでいきます。
集団でのルールを理解し、守れるように
順番を待つなど、集団生活に必要なルールを理解できるようになります。また、物事の善悪も判断できるようになりますが、理解と行動のバランスを取ったり、感情をコントロールしたりするのはまだまだ難しい時期です。
例えば、順番を守れなかったときは頭ごなしに叱るのではなく、「早くやりたかったんだね、でも順番は守ろうね」と、お子さまの気持ちに寄り添いながら伝えることが大切。「どうしたらよかったかな?」と一緒に考えることで、お子さま自らの考える力も育っていきます。
重要なのは、お子さまの感情を否定しないこと。大人にとっては些細なことでも、お子さまにとっては心を揺らす出来事ということもあります。
例えば、「こんなことで泣かなくていい」というのは大人の主観であり、お子さまにとってはそれが大きな出来事ということもあるのです。どんな感情も受け止めつつ、周りの状況に応じた表現の仕方を一緒に学んでいけるといいでしょう。
ご家庭では、安心できる環境のなかで思い切り泣く時間を持つことも大切です。些細なことでも感情を出し切ることで、気持ちの切り替え方を自然に覚えていきます。
監修してくれた先生
保田典子
小児科 | 高円寺こどもクリニック院長
2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務等を経て現職。小児科専門医、こどもの心相談医。一般診療、小児循環器診療に加えて、起立性調節障害や発達相談、漢方治療にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。



