赤ちゃんの「習い事」はどう選ぶ?

スポーツ熱が高まる今だからこそ見直したい「焦らない子育て」

テレビやSNSで活躍するスポーツ選手たちを見たり、周囲から「スイミングを始めた」「英語教室に通い始めた」という話を聞いたりすると、「うちの子も早く何か始めさせなきゃ」「運動神経を良くしてあげたい」と、焦ってしまうこともあるかもしれません。

でも、習い事を早く始めることだけが、お子さまの将来を決めるわけではありません。この記事では、今どきの「習い事」事情に加え、遊びや生活の中で育まれる力にも目を向けながら、お子さまに合った習い事との付き合い方を考えていきます。

今どきの「習い事」事情〜主な種類と特徴

ここでは習い事のカテゴリーごとに、特徴やメリット、注意したいポイントについてご紹介します。

体力と社会性を育むスポーツ系(水泳、体操、ダンス、ベビークラブなど)

全身を動かす楽しさを知り、体力や体の使い方の基礎を養うのに最適です。集団の中でルールを守ることや、コーチとの関わりを通じて自然と社会性が芽生えるというメリットもあります。一方で、お子さまの集団行動への向き不向きや、コーチとの相性も確認したいポイントです。

感性と創造性を刺激する音楽・芸術系(ピアノ、バイオリン、絵画、リトミックなど)

音や色、形に触れることで、五感や豊かな感性を刺激します。自分を表現する楽しさを知り、じっくり取り組む中で創造性や集中力も育まれます。一方で、家庭での練習や準備が必要な場合があり、費用負担についても確認が必要です。

好奇心を広げる知育・学び系(英語、幼児教室、プログラミング、AI知育、マネー教室など)

言葉や社会の仕組みへの好奇心を育む選択肢も増えています。特に年中・年長向けには、お金の使い道を楽しく学べる教室なども登場しており、新しい世界に触れるきっかけになるでしょう。一方で、成果を急ぎすぎると負担になりやすいため、楽しさを優先させることが大切です。

自宅で好きな時間に取り組める通信教育系

自宅で好きな時間に取り組め年齢に合った教材で学べます。一方で、保護者のサポートが必要で、忙しいと教材がたまりやすい面もあります。

気軽に参加できる単発・体験系(児童館のワークショップ、自治体のイベントなど)

月謝制ではなく、1回完結で気軽に参加できるものもあります。無料のものもあるので、まずは「うちの子、何に興味があるかな?」と様子を見る場合に適しています。児童館・自治体の子育て支援センター・地域の文化施設・図書館・民間団体のワークショップなど、さまざまな場で開催されています。お住まいの市町村の子育て支援サイトや児童館の掲示板などで検索してみてください。

【図表4-1】習い事と年齢ごとのポイント

※表は横にスクロールしてご覧いただけます

0〜1才 2〜3才 4〜6才
スポーツ系 親子で楽しく
体を動かす
遊びながら
体の基礎を育てる
集団で基礎技術を
学ぶ
芸術・表現系 音やリズムを楽しむ 歌う・描く・動くを
楽しむ
表現の幅を広げる
知育・語学系 音やことばに親しむ まねしながら学ぶ ルールやワークに
取り組む
通信教育系 親子で短時間から
始めやすい
遊びの延長で学びやすい 基礎学習を
自分のペースで進めやすい
単発・体験型 親子で気軽に参加しやすい 手遊びや工作を
楽しみやすい
イベントや工作に
参加しやすい

始める前に知っておきたい!習い事にかかる「費用」の目安

習い事を検討するにあたって、まず気になるのが費用ではないでしょうか。文部科学省の資料によると、幼稚園(満3才~)に通う子ども1人あたりの学校外活動費(習い事や学習塾、自宅学習など)の平均額は、公立で年間約10.0万円、私立で年間約15.8万円となっています。乳児期(0~2才)はこれより低く抑えられる傾向にありますが、成長に伴う目安として知っておくと安心です。

参考:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」
https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000039333_3.pdf

スポーツ系・通信教育系の費用例

個別の月謝の具体的な目安としては、通塾型のスポーツ教室は、施設や種目によって異なりますが、週1回で約7,000円~13,000円程度とされています。

また、自宅でできる通信教育も、年齢やコースによって異なりますが、月2,000円台から始められる講座があります。

知育学び系の費用例

通学型の知育学び系教室は、教室の種類や受講形式によって異なりますが、月謝制の教室で約6,000円~35,000円程度、単発参加型のマネー教室で無料~1,000円程度とされています。

楽器系の費用例

ピアノやバイオリンなどの楽器系の習い事は、月謝はコースによって月8,000円前後~15,000円前後が目安となります。

【図表4-2】習い事の月謝・参加費の例

ジャンル 月謝・参加費の目安
スポーツ系(月額) 約7,000円〜13,000円(週1回)
通信教育系(月額) 約2,000円台〜
知育・学び系(月額) 約6,000円〜35,000円
マネー教室(1回あたり) 無料〜1,000円程度
楽器系(月額) 約8,000円〜15,000円

月謝だけで決めないで!費用を検討する際の注意点

費用を検討する際は月謝だけでなく、以下の点も考慮しましょう。

・トータルコストの把握
入会金や初期登録費、ユニフォーム・水着などの道具代、施設費、教材費、さらに発表会費や検定料といった「月謝以外のコスト」が別途かかる場合があります。また、楽器系の習い事では、自宅での練習環境の整備・楽器の準備が必要になることもあります。ただし、楽器はすべて購入しなければならないわけではなく、レンタルという選択肢もあるため、始める前に教室に確認してみましょう。

・地域や規模による幅
費用は地域差や教室の規模(大手か個人か)レッスンの形態(グループか個人か)によっても大きく異なります。

最終的には資料請求や体験レッスンを活用し、トータルで必要な金額はどのくらいか、費用に見合う内容か、先生との相性や通いやすさはどうかなど、ご家庭で総合的に判断することが大切です。

年齢以上に重要な「入会条件」と成長段階のチェックポイント

募集要項に「◯才からOK」と書かれていても、実際にはお子さまの成長段階によって入会が制限されることがあります。

例えば水泳を始める場合は「おむつが取れているか」が基準になるケースが多いです。また、体操やダンスでは「自分で靴を履けて、先生の指示通りに動けるか」が目安。そのほか、集団の中で一定時間過ごせる情緒の安定度も大切な指標となることもあります。さらに習い事によっては、お子さまの年齢を考慮し、保護者の付き添いが必要なケースもあります。お子さまの成長段階に合っているかを、入会前にしっかりと確認することが大切です。

後悔しない習い事の「選び方」とあえて「始めない」という選択

「みんながやっているから」ではなく、「わが子」を基準に選ぶことが、後悔しない選び方の最大のポイントです。

先生との相性や分離不安への配慮

お子さまがママやパパと離れることに不安に感じる時期には、親子で一緒に参加できるスタイルを選ぶと安心です。また、「声の大きい男性の先生は少し苦手」といったお子さまならではのこだわりや相性がある場合には、その気持ちを尊重してあげましょう。

体験教室や見学の活用を

最終的な入会の判断は、体験や見学時のお子さまの「表情」や先生の接し方です。

体験後に「今だけのキャンペーンです」「早めに決めた方がいいですよ」と声をかけられても、焦る必要はありません。その場で迷ったときは、「持ち帰って検討します」と伝えて大丈夫です。家に帰ってから、生活リズムに合うかどうかをゆっくり考えてみましょう。

通いやすさについても、仕事終わりや休日の子どもの送迎や付き添いには、思った以上のエネルギーが必要になることがあります。親の体力や時間的余裕もコストのひとつとして、家族の生活リズムに無理がないか、合わせて確認しておきましょう。

「今は始めない」という決断と見守る勇気

周囲の雰囲気に流されず、「今は家庭での時間を大切にしたい」と感じるなら、あえて習い事を始めずに、様子を見ることも立派な選択です。無理に始めて親子ともにストレスを抱えるよりも、その子に合った最適なタイミングを待つ勇気も大切です。

学びの場は「教室」だけじゃない!日常生活の中で育つ「一生モノの力」

「自分でやってみたい!」「これ、なあに?」そんなことばが増えてきたら、日常のあちこちに成長のチャンスが隠れているサインかもしれません。お子さまに合った習い事を検討する一方で、特別な教室に通わなくても、毎日の暮らしのなかにもお子さまの成長を育む「学びの種」がたくさん詰まっています。

料理・お手伝い〜計画、集中、達成感を育てます

お子さまが「お料理したい!」と言うようになったら、それは自立心を育てる大きなチャンスです。親子で一緒に週末のメニューを決めて、必要な材料を買い、野菜をちぎったり盛りつけたりなどのお手伝いをしてもらう。そして家族でいただき、片付けも一緒に行う。こうした一連の流れは、「ひとつのことに向き合ってやりとげる」貴重な経験になります。

遊びと動作〜ハイハイや手づかみ食べが「自分の体」を知る一歩に

乳幼児期の何気ない動作は、身体能力や器用さの土台づくりにつながります。また、ハイハイは四肢で体重を支えることで体幹の基礎を養い、手づかみ食べは食べ物の感触を確かめながら口へ運ぶことで、目と手を連動させる力を育みます。さらに、足の裏をしっかり床につけて食べる姿勢は、噛む力を支え、落ち着いて食事に向き合う習慣づくりにも役立ちます。

自分で身支度〜お着替えで身につく自立心

自分で靴を履こうとしたり、ボタンを留めようとしたり、子どもは日々さまざまなことに挑戦します。最初はうまくいかないかもしれませんが、時間に余裕のある範囲で、その試行錯誤をそっと見守れるといいですね。お子さまが「自分でできた!」という達成感を積み重ねることが、新しいことにも挑戦してみようという自信につながっていきます。

よくある疑問Q&A|習い事とおうち生活の「これってどうなの?」

保護者の皆さまが抱きがちな不安についてお答えします。

Q1:運動神経を良くするために、スポーツは早めに始めるべきですか?
A:あわてて始める必要はありません。日々の「遊び」「生活動作」は、将来の運動能力の大切な土台を築きます。かけっこや鬼ごっこ、階段の上り下りといった何気ない動きの積み重ねが、お子さまの運動神経を育みます。
Q2:手づかみ食べをさせないと不器用になりますか?
A:必ずしもそうなるとは限りませんが、手づかみ食べは「指先の器用さ」などを育む絶好のチャンスです。シートを敷く、全身をカバーできるエプロンを着けるなど、工夫しながらできる範囲で取り入れていくといいでしょう。
Q3:習い事は3才までに始めないと遅いのでしょうか?
A:有名アスリートなどの影響で「早く始めなきゃ」とプレッシャーを感じるかもしれません。ですが、習い事の目的はプロを育成することではありません。お子さまの興味や家庭の状況に合わせて、無理のないタイミングで始めるのが一番です。
Q4:子どもが「やりたい」と言って始めたのに、すぐ「行きたくない」と気持ちが変わった場合はどうしたらいいですか?
A:「行きたくない」という気持ちは、決して悪いサインではありません。幼児期は興味が移り変わるのが自然な発達の一部です。続けること自体を目的にするより、その経験が親子にとって前向きかどうかを基準に考えてあげてください。無理に続けて食事・睡眠・機嫌に影響が出るようなら、一度休む・形を変える・少し待ってから再挑戦するなど、どれも立派な選択です。続けるか辞めるかに医学的な「期限」はありませんので、どうか焦らずに。

また、入会を迷っている場合は、いきなり本入会にこだわらなくても大丈夫です。体験レッスンや回数券制のコースを選ぶと、お子さまの様子を見ながら無理なく試すことができます。

Q5:落ち着きがなく、一つのことに集中できません。それでも習い事は始められますか?
A:幼児期は集中できる時間に個人差があり、落ち着きがないように見えても、興味のあることには夢中になれる子も少なくありません。短時間の体験から始める、好きなことを入口にする、できたことをしっかり認めるなど、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。心配なことがあれば、通っている園の先生や専門家に相談するのも一つの方法です。
Q6:選択肢が多すぎて、うちの子にどんな習い事が合うのか分かりません。見極めるコツはありますか?
A:「親がやらせたいもの」よりも、「子どもの目が輝く瞬間」を観察してみましょう。日常の遊びで何に夢中になっているかが、大きなヒントになります。また、先生がお子さまのありのままを受け止めてくれる人かどうかも、幼児期にはとても大切な基準です。

まとめ 未来の可能性は、日々の生活と遊びの中にこそある

習い事はお子さまの可能性を広げるきっかけの一つです。ですが、成長の土台は特別な場所だけで育まれるものではありません。遊びや生活の中での挑戦、家族との関わりの中にも学びの機会はあふれています。

なにより、今日という日を家族みんなで笑い合って過ごせたならば、それは100点満点の教育環境です。頑張りすぎず、お子さまのペースで「日常」の成長を楽しんでいきましょう。

監修してくれた先生

五藤 良将(ごとう よしまさ)先生 五藤 良将(ごとう よしまさ)

所属:医療法人社団五良会 竹内内科小児科医院 院長
医療法人社団五良会 理事長
経歴:千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。
資格:医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、日本美容内科学会評議員

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