室内・外出・スキンケア・水分補給、生活まるごと解説 赤ちゃんから幼児までの暑さ対策

暑い季節を健やかに。知っておきたい赤ちゃんの体調を守るポイント

「赤ちゃんがいるとき、部屋のエアコンはつけっぱなしでいいの?」
「暑い昼間にベビーカーで外出しても大丈夫?」
「最近、肌荒れが増えた気がする…」
「赤ちゃんに日焼け止めって必要?」

暑い季節が近づくと、赤ちゃんや小さなお子さまのいるご家庭では、こうした気がかりが増えますよね。近年は春や秋が短くなり、暑い時期が以前より長く感じられるようになったぶん、暑さへの備えも「夏本番だけ」では足りないと感じている方も多いかもしれません。

この記事では、おうちの中の環境づくり、外出時の工夫、スキンケア、水分補給という4つの視点から、暑い時期の過ごし方を紹介します。

おうちでの暑さ対策~エアコンの使い方・服装・寝るときのポイントは

暑い季節でも赤ちゃんが健やかに過ごせるよう、室内環境の整え方のポイントを分かりやすく解説します。

エアコンの使い方と室温の目安

暑い日が続くと、まず気になるのがエアコンの使い方ですよね。一般的に、室温の目安は26~28℃とされています。

しかし、注意しておきたいのは、エアコンの設定温度と実際の室温は必ずしも一致しないということです。お部屋の向きや広さ日差しの入り方によって体感温度も変わるので、赤ちゃんが過ごす場所の近くに温度計を置き、実際の室温を確認する習慣をつけておくと安心です。

また、エアコンの風が赤ちゃんに直接当たると、体が冷えすぎたり、肌が乾燥したりすることがあります。風向きを上に設定したり、サーキュレーターを併用してお部屋全体の空気を循環させたりするとよいでしょう。

「エアコンのつけっぱなしは体に悪いのでは?」と心配かもしれませんが、室温が上がりすぎるほうが赤ちゃんにとってはリスクが大きいといえます。エアコンのオン・オフを頻繁に繰り返すよりも、適切な温度を保ちながら稼働させるほうが、室温の急な変動を防げます。

暑い日の服装と寝るときの環境

赤ちゃんの暑い日の服装の目安は、「大人より1枚少なめ」が基本です。赤ちゃんは体温調節機能がまだ十分に発達していないため、大人と同じ枚数を着せると体内に熱がこもりやすくなります。着せすぎは「うつ熱」の原因になるため、なるべく薄着を意識してください。
(※「うつ熱」とは、暑さや着せすぎ、室内環境によって体に熱がこもり、一時的に体温が上がる状態を指します。)

寝るときの掛け布団は、暑い時期には基本的に不要です。顔にかかると窒息のリスクもあるため、「お腹が冷えないか心配」という場合は、薄手の腹巻やガーゼケットを活用しましょう。

もし、お子さまの背中に手を当てて汗ばんでいたら、1枚脱がせてあげるサインです。汗取りパッドを背中に入れておくと、着替えの手間を減らせて便利です。

外出時の暑さ対策~時間帯の選び方・ベビーカーの注意点・UV対策

赤ちゃんとの外出では、日中の強い日差しを避け、ベビーカーの暑さ対策やUVケアに気をつけることが大切です。

外出時間帯とベビーカーの注意点

気温が高くなりやすい10~14時はできるだけ避け早朝や夕方に外出するのが望ましいとされています。環境省が提供している「暑さ指数(WBGT)」は、気温だけでなく湿度や日射なども加味した指標で、外出の判断材料としても役立つでしょう。

また、意外と見落としがちなのがベビーカー内の温度です。ベビーカーの座面は地面に近いため、アスファルトの照り返しを受けて、日差しが強い日には大人の体感より約2℃ほど高くなることがあります。サンシェードで直射日光を遮ったり、背面に保冷ジェルを入れたりするなどの工夫をしましょう。

※参考:環境省 熱中症予防情報ガイド
https://www.wbgt.env.go.jp/lifewbgt.php

抱っこ紐を使うときは、保護者と赤ちゃんの密着部分がとくに蒸れやすくなります。こまめに赤ちゃんの顔色や汗のかき具合を確認し、日傘を使用し、日陰で休憩を取りながら移動してください。汗をかいたときのために、清潔なガーゼや濡らしたガーゼを密封袋に入れて携帯しておくと便利です。また、赤ちゃん用のウェットシートなども使いやすくおすすめ。首まわりや背中など汗がたまりやすい部分をやさしく拭いてあげましょう。

日焼け止め・虫よけの使い方

日本小児皮膚科学会では、乳幼児への日焼け止め使用が推奨されています。選ぶ際は、低刺激でベビー用と明記されているものが安心です。塗った日は、帰宅後にしっかりと洗い流して、肌トラブルを防ぎましょう。

日焼け止めと虫よけを両方使う場合は、最初に日焼け止めを塗り、その後に虫よけを塗るのが基本です。虫よけはディート(DEET)不使用の製品が乳幼児向けとして選ばれやすいですが、ディート含有の製品を使うときには厚生労働省の基準に基づき年齢ごとの使用回数を必ず守りましょう。

近年は、ディート以外の虫よけ成分としてイカリジンを使用した製品も増えています。イカリジンは、年齢による使用回数制限がなく、においや刺激が比較的少ないとされることから子ども向け製品にも広く使われています。一方で、虫が多い場所や長時間の屋外活動では、持続時間の長いディート製品が選ばれることもあります。
そのため、短時間の散歩や公園遊びには低刺激タイプ、キャンプやアウトドアなど虫が多い環境では効果の持続性を重視するなど、場面に応じた使い分けも大切です。厚生労働省の基準によれば、ディートは6か月未満の乳児には使用できません。6か月以上2才未満は1日1回、2才以上12才未満は1日1~3回が上限です。

なお、幼児であれば帽子やUVカット機能付きの長袖を着せるなど、効率よく日差しを遮る工夫もできます。

※参考:厚生労働省「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」
https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/08/tp0824-1.html

夏のスキンケアのコツ~汗をかく季節こそ保湿が大切なわけ

「夏は汗をかくから、保湿は不要では?」
このように思われがちですが、実はその逆で、夏こそ丁寧なスキンケアが必要です。

紫外線やエアコンによる「インナードライ」に注意

汗そのものが肌を潤しているように感じられても、紫外線のダメージやエアコンによる空気の乾燥は、肌のバリア機能を内側から崩してしまうことがあります。これがいわゆる「インナードライ」と言われる、表面はべたつくのに中は乾いている状態です。肌のバリア機能が低下すると、あせもやかぶれが起きやすくなります。

汗を流すときは「こすらず、やさしく」

汗をかいたら、タオルで拭くよりもぬるめのシャワーでさっと流すほうが、肌への負担を抑えられます。外出先などですぐにシャワーを浴びられない場面では、やわらかいタオルやガーゼで軽く押さえるように拭いてあげましょう。

シャワーのあとは、普段使っているクリームやベビーローションなどで保湿してあげましょう。汗や紫外線で肌が敏感になっているときは、いつも使い慣れたものが刺激になりにくく安心です。普段のローションが重く感じる場合は、さっぱりとしたテクスチャーのシンプルなベビーローションを試してみるのもよいでしょう。汗の刺激から肌を守り、あせもの予防にもつながります。お風呂のあとは、保湿力が強いクリームやワセリンも活用しましょう。

受診を検討する目安は

あせもができてしまった場合、軽いものであれば肌を清潔に保つことで自然に落ち着きます。ただし、赤みが広がったりかゆがったりする場合は、早めに小児科や皮膚科を受診してください。

暑い日の水分補給のポイント~飲ませるタイミングと量の目安

お子さまの月齢や食事の段階によって、水分補給の目安や方法は異なります。それぞれの時期に合わせたポイントを確認しておきましょう。

離乳食前の乳児:
母乳・ミルクの回数の調整を

離乳食前の乳児の場合、基本的には母乳やミルクだけで十分です。暑い日は、授乳の回数をいつもより少し増やすことを意識してみてください。

離乳食期の乳児:
食事の合間に少しずつ

離乳食が始まっている乳児の場合は、食事のタイミングに加えて、合間に麦茶や湯冷ましを試してみましょう。スプーンやストローマグで少量から慣らしていくのがコツです。

幼児期:
15~20分おきの声かけが大切

幼児は遊びに夢中になると喉の渇きを感じにくくなるため、大人が意識的に飲む機会をつくることが大切です。特に外遊びや運動をしているとき、気温が高い日は15~20分おきを目安に声をかけてあげましょう。室内での静かな遊びの場合は、活動の区切りごとに促しましょう。

日常の水分補給は水や麦茶が基本です。イオン飲料(経口補水液など)は、あくまでも大量に汗をかいた後や発熱・下痢などで体調を崩したときの非常用として考え、日常的に飲ませるのはあまりおすすめできません。また、飲み残しのペットボトルやマグの中身は雑菌が繁殖しやすいため、衛生管理にも注意が必要です。

夏の暑い時期は、水分が汗として出ていきやすくなります。おしっこの回数が少ない、色が濃い黄色になっているときは水分不足のサインです。汗で失われたミネラルも一緒に補える麦茶は、暑い季節の水分補給にぴったりです。

【見逃さないで】体調変化のサインと家庭での対処法

赤ちゃんや小さなお子さまは、暑さによる体調の変化や熱中症・脱水の症状を言葉で伝えることができません。特に屋外で過ごした日や室内でも暑さが続いた日は、保護者が早めにサインに気づいてあげることが大切です。

体調変化の見極めのサイン

以下のような様子が見られたら、体に熱がこもっていたり、水分が不足していたりする可能性があります。

・顔が赤い、触ると体が熱い
・おしっこの回数がいつもより明らかに少ない
・泣き声に元気がない、泣き方がいつもと違う
・機嫌がずっと悪く、あやしても落ち着かない

これらが重なっているときや、「なんとなくいつもと様子が違う」と感じたときは注意が必要です。

家庭でできる体調変化への対処法

まずは涼しい場所へ移動し、衣服を緩めて風通しをよくします。首筋・脇の下・足の付け根など、太い血管が通っている場所を保冷剤(タオルで包んだもの)で冷やすと、体温を下げる助けになります。体を冷やしながら、意識がはっきりしていて自力で飲める状態であれば、こまめに水分補給も行いましょう。経口補水液やベビー用イオン飲料が手元にあれば活用してください。

医療機関受診の目安

以下のような症状が一つでもみられる場合は、家庭での対処や様子見で済ませるのではなく、速やかに医療機関を受診してください。

・水分を受け付けない、飲もうとしない
・ぐったりして反応が薄い
・呼びかけに対する反応が鈍い
・意識がもうろうとしている

迷ったときは「大丈夫かな」と感じる程度でも、遠慮なく医療機関を受診してください。「何もなかった」とわかれば、それだけでも安心できます。

よくある疑問Q&A|暑い日のお世話の「これってどうなの?」

暑い時期のお子さまのお世話に関して、ママやパパからのよくある質問についてまとめました。

Q1:エアコンはつけっぱなしでも大丈夫ですか?
A:室温26~28℃を目安に、風が直接当たらないよう調整すれば問題ありません。

一定の温度を保つほうが、赤ちゃんの体への負担を抑えられます。

Q2:暑い日に外出してもいいですか?
A:気温が上がりやすい10~14時を避けた早朝や夕方がおすすめです。

暑さ対策や、環境省の暑さ指数(WBGT)のチェックもやっておくとよいでしょう。

Q3:水分補給にジュレをあげてもいいですか?
A:ジュレは離乳食期から食べられますが、糖分が多く含まれているものは注意が必要です。

水や麦茶を基本として、どうしても飲みたがらないときは麦茶や薄めた果汁を寒天で固めたゼリーにすると、糖分を抑えながら水分を摂らせやすくなります。市販のゼリーやジュレは糖分が多いものが多いため、原材料を確認したうえで選ぶようにしましょう。
なお、体調不良時に水分補給が難しい場合は、市販のベビー用イオン飲料を活用してみてください。大人向けスポーツドリンクに比べて糖分・ナトリウム量が乳幼児向けに調整されているので、安心して使いやすいです。

Q4:冷たい飲み物を飲ませても大丈夫ですか?
A:常温から少し冷たい程度(冷蔵庫から出して少し置いたくらい)であれば、体の熱を下げる助けになります。

キンキンに冷えたものは胃腸に負担をかけるので避けましょう。

Q5:冷却シートは熱中症対策になりますか?
A:ひんやり感で赤ちゃんを落ち着かせる効果はありますが、体温そのものを下げる効果はありません。

解熱・冷却目的であれば、太い血管が通る部位を保冷剤で冷やすほうが効果的でしょう。外出先で保冷剤がない場合は、まず日陰に移動して、濡らしたタオルで首筋や脇の下を冷やしてあげましょう。

Q6:「汗をかかせたほうが強くなる」って本当ですか?
A:以前はそう言われることもありましたが、近年の厳しい暑さを考えると、現在は推奨されていない考え方です。

無理に汗をかかせるリスクよりも、エアコンや日陰を活用して体調を守ることを優先してください。

Q7:赤ちゃんを冷やしすぎていないか心配です。注意すべきポイントはありますか?
A:基本的に、活動している時に冷やしすぎることはほとんどありませんが、寝ている時には少し気をつけてあげてください。

特に顔色が青白い、ぐずりが続く、お腹や背中を触るとひんやりしている、などが代表的なサインです。冷やし過ぎに気づいたときは、まず冷房の設定温度を1~2℃上げ、薄手のブランケットや腹巻きでお腹や背中を温めてあげましょう。手足が冷たい場合は、靴下を履かせたり手を包んで温めたりするだけでも効果的です。
短時間で改善しない場合や、ぐったりしている・哺乳量が極端に減っているといった場合は、かかりつけ医に相談してください。

まとめ

暑い時期の子育ては、気をつけたいことがたくさんあり、つい身構えてしまいがちです。しかし、これらすべてを完璧にこなす必要はありません。なによりも、保護者自身が無理をしすぎず、心身に余裕を持つことが、お子さまの安全にもつながります。便利なアイテムを上手に活用しながら、親子で「ちょうどいい」バランスを見つけていってくださいね。

【図解】「夏のおでかけ持ち物チェックリスト」

夏のおでかけ持ち物チェックリスト チェックリスト(PDF)をダウンロード

監修してくれた先生

保田典子先生 保田典子

小児科 | 高円寺こどもクリニック院長
2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務等を経て現職。小児科専門医、こどもの心相談医。一般診療、小児循環器診療に加えて、起立性調節障害や発達相談、漢方治療にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。2026年4月、子どものための訪問看護ステーション(ここる訪問看護ステーション)をオープン。3児の母。

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