頑張りすぎない「育児の仕組み化」 【小児科医監修】完璧じゃなくていい!心が軽くなる育児ライフハック

がんばりすぎない育児のために、頼れる仕組みづくりを

ママやパパにとってわが子は、愛おしくかけがえのない存在です。日ごとに成長していくわが子と過ごす日々は、何にも代えがたい特別な時間でしょう。

一方で、毎日全力でわが子と向き合っているからこそ、ふと心や体が疲れてしまう瞬間があるのも自然なことです。それは決してあなたのがんばりが足りないからではありません。

この記事では、小児科医のアドバイスを交えながら、無理を重ねながら育児を乗り切るのではなく、日々の育児をラクにする工夫や仕組みをご紹介します。どうぞ肩の力を抜いて読み進めてください。

産後ママの体調管理~家事より先に休む・食べる・頼る

一般的に、産後ママの体は「全治2ヵ月の重傷」と同程度のダメージを負っているといわれています。「産後は水に触るな」という言い伝えも、産後の冷えを防ぎ、体を労わる昔の知恵の表れです。

だからこそ、産後はできるだけ自分の体に目を向け、休息と食事を大切にしてほしい時期です。とはいえ、日々の育児のなかでは、ママが疲れやしんどさを一人で抱え込んでしまう場面も少なくないのではないでしょうか。

この章では、そんなときに頼れる具体的な工夫とあわせて、ママの心身の変化をパートナーやご家族にも知ってもらい、周囲の人たちと一緒に乗り越えていくためのヒントをお伝えします。

家事よりも「15分の昼寝」を優先しよう

赤ちゃんがまだ小さく、夜はまとまった睡眠が取れない…。そんなママにぜひおすすめしたいのが、昼間15分程度の短時間仮眠(パワーナップ)です。赤ちゃんがお昼寝をしている間は、家事を後回しにしてでも一緒に横になって休息してみましょう。ただし、新生児期など夜間の睡眠が細切れになりやすい時期は15分にこだわらず、赤ちゃんが眠っている間に一緒にできるだけ休むことを優先しましょう。昼寝は体の疲労を回復させ、午後の育児をよりよく乗り切るための「作戦」です。ぜひ、気兼ねなく体を休めてください。

大人のための食事づくりは「完璧」を目指さない

産後ママの体は出産時の出血の影響もあり、鉄分が不足しやすくなっています。また、体の回復や母乳育児のためには、多くのタンパク質も必要です。だからこそ、自分のために栄養に配慮した食事をつくる余裕がない日は、宅配食やサプリを「相棒」として頼ってみるのも一つの選択です。ママの体をケアすることは、赤ちゃんをケアすることにもつながります。完璧な手づくりの食事にこだわらなくても大丈夫。自分に合った無理のない方法を見つけていきましょう。

夫婦で共有したい、産後ママの変化

産後のママの不調は「なんとなく体が重い」など、はっきりとした言葉にはしにくいものです。また、育児で手いっぱいで自分の不調に気づく余裕がなかったり、我慢してしまったりすることも少なくありません。さらに、出産に伴う激しいホルモンバランスの変化や、睡眠不足、育児による慢性的な疲労、精神的なプレッシャーが重なり、一時的に記憶力が落ちたり、頭がぼんやりしたりする「マミーブレイン(Mommy Brain)」と呼ばれる症状を経験するママも一定数いると言われています。

そんなときには、ママとパパがお互いの体調や気持ちの変化を、少しずつ伝え合ってみてください。パパも初めての育児で疲れや戸惑いを感じていることもあるでしょう。一方で、ママの身体は出産後、まだ回復の途中です。

疲れや睡眠不足が重なると、ぼんやりしたり、イライラしたり、相手に強く当たってしまうこともあります。お互いに「今は余裕がないのかもしれない」と理解するだけでも、すれ違いを減らすことにつながります。どちらか一方が頑張るのではなく、支え合いながら子育てしていけるといいですね。

家電や便利グッズの活用で生まれる「時間と心のゆとり」

家電は決して安い買い物ではないため、導入をためらうことはとても自然なことです。ここで大切なのは、無理をしてそろえることではなく、価格や使う頻度、置き場所などを考えながら、暮らしに合うものを選ぶことです。単なる道具というよりも、日々の家事や育児を一緒にこなしてくれる「頼もしいパートナー」のような存在として捉えてみてはいかがでしょうか。

使うことで得られる魅力は、家事が早く終わることだけではありません。家事に追われていた時間にほっと一息ついて英気を養ったり、忙しい時間帯に心に余裕を持って過ごせたりと、気持ちや生活にうれしい変化をもたらしてくれます。使い続けるうちに、家事や育児を支えてくれるかけがえのない仲間になっていくものもあるでしょう。

この章では、家事の負担を減らす家電と、育児をしっかりサポートしてくれる便利グッズをそれぞれ紹介します。無理のない範囲で、ご家庭の暮らしに合うものを選ぶヒントとして役立ててください。

心と体にゆとりを生む家電

家事にかかる時間を上手に家電に任せることで、心にゆとりを持って過ごしたり、体を休めたりする時間が生み出せます。

たとえば自動調理鍋なら、食材や調味料を入れてボタンを押して放置している間に、30分~1時間ほどかかる煮込みや下ごしらえを済ませてくれます。つきっきりで火加減を気にする必要がないため、横になることや、お茶を飲んでリラックスすることもできます。

乾燥機付き洗濯機を使えば、洗濯物をその都度干して取り込む作業がなくなり、天候にも左右されません。さらに、食洗機は洗い物にかかる時間や手荒れの負担を減らすことができ、お掃除ロボットに任せれば、掃除機をかける時間そのものをまるごとカットすることもできます。

すべてを取り入れるということではなく、まずは一番負担に感じている家事を置き換えてみるだけでも、余裕が生まれるでしょう。

育児の負担を減らす便利グッズ

産後の育児をラクにしてくれる便利グッズには、ママ自身の体をいたわるものと、赤ちゃんのお世話や家事の負担を減らしてくれるものの2タイプがあります。

まず、ママの体をいたわるものとしては、授乳サポートグッズがあります。その一つである授乳クッションは、赤ちゃんの体を支えて授乳しやすい高さに保つことで、前かがみの姿勢や腕・肩の力みを減らしてくれます。選択肢の一つとして、無理のない範囲で取り入れてみてください。もし、体の痛みや違和感が続くようなら、我慢せず、産婦人科や整骨院などの専門家に頼ってみましょう。きっと力になってくれるはずです。

また、赤ちゃんのケアに役立つものとしては、すぐに体温が測れる赤ちゃん用の体温計や、鼻・耳のお手入れに使う綿棒・ピンセットなど、日々のお世話を支える小物類があります。こうしたグッズをひとつそろえておくだけで、いざというときに慌てずに済みます。

ほかにも、手動でもできるけど電動にするとさらにぐっとラクになる育児グッズがあります。たとえば鼻吸い器は、手動タイプはコンパクトでおでかけ先にも持ち運びやすく、電動タイプは安定した力でしっかり吸い取れるため、夜間や回数が多い場合の負担を軽くしてくれます。

搾乳器は、搾乳にかかる時間と体への負担を軽くしてくれるだけでなく、パパや家族と授乳をシェアするきっかけにもなります。スチーム除菌器は哺乳びんや小物の消毒を手早く済ませることができ、夜中の授乳後の片づけなど手間を減らしたいときに助かります。ベビーモニターは、別の部屋にいても赤ちゃんの様子がわかり安心です。ご家庭の環境や困りごとに合わせて、上手に頼ってみるのもいいでしょう。

育児中の家事をラクにする暮らしの仕組み化アイデア

育児期は、授乳やおむつ替えといった赤ちゃんの直接的なケアだけでなく、名前のつかない細かな作業が一気に積み重なる時期でもあります。日用品の買い出し、大人の食事準備、洗濯物の処理、ゴミ出し、書類整理などは「育児」とは呼ばれませんが、この時期には負担が倍増します。家事のやり方そのものへの工夫を考えるきっかけにしてみるのもおすすめです。

たとえば洗濯物は、ハンガーにかけたままやボックスに入れるだけにするとたたむ作業がなくなり、負担がぐっと減ります。

また、赤ちゃんのお世話に関しては、首がすわる月齢になると、ボタンを一つひとつ留める服よりも、かぶりタイプの服の方が短時間でさっと着替えさせやすくなります。一方、新生児期はまだ体がしっかりしておらず、前開きタイプの方が扱いやすいこともありますので、赤ちゃんの月齢や様子に合わせて適したものを選んでみてください。

おむつやトイレットペーパー、洗剤、コットンなどの日用品は重くてかさばるものも多く、小さな赤ちゃんを連れての買い出し自体が負担になりがちです。そんなときには、ネットスーパーや通販の定期お届けサービスなど、配送に頼れる選択肢もあります。おむつのサイズ変更などもスマホで簡単に調整できるサービスもありますので、ご家庭のペースに合わせて、無理のない範囲で取り入れてみてはどうでしょうか。

離乳食は、一般的に「栄養バランスは2〜3日単位で考えれば大丈夫」とされています。また、離乳食は「補完食」といって、母乳・ミルクの補助的な意味合いなので、母乳・ミルクがしっかり飲めていれば栄養バランスを完璧にする必要はありません。毎食完璧を目指すのではなく、作り置きをしたり、必要に応じてレトルトや冷凍の離乳食に頼ったりすることも問題ありません。大切なのは家族が笑顔で食卓を囲めることです。ご自身の食事も、無理に一汁三菜を目指さなくて大丈夫。簡単なもので済ませる日や、ミールキットやレンジ弁当などに頼る日があってもいいでしょう。

上手に工夫することで生まれる、暮らしの余白

①洗濯物の対処

今までのやり方
1枚ずつていねいにたたんで収納
できる工夫
たたまずにハンガー掛けそのままボックスへ投入

②おむつの調達

今までのやり方
使い切ったらその都度買い出し
できる工夫
ネットスーパーや定期お届けサービスに任せる

③日用品の買い出し

今までのやり方
なくなりそうになったら買い出し
できる工夫
ネットスーパーや定期お届けサービスに任せる

④大人の食事準備

今までのやり方
毎日ゼロから献立を考えて調理
できる工夫
一汁三菜を目指さず、簡単なものやミールキット・レンジ弁当に頼る

⑤離乳食の準備

今までのやり方
バランスを気にしながら毎回手作り
できる工夫
作り置きする
レトルトや冷凍離乳食を利用する

家事代行・一時預かり・自治体支援を上手に使おう

家事や育児における外部サービスの利用には、「本来は自分たちでやるべきもので、どうしようもないときにやむを得ず頼るもの」というイメージを持っている方も少なくありません。しかし、周りの力や便利なサービスは、限界まで追い詰められたときの最後の手段ではなく、いつでも・何度でも活用していいものです。育児中は誰の助けも借りずに完璧にこなすのが「普通」というわけではありません。頼ることは、親子で穏やかに過ごす時間を増やすための前向きな選択です。

利用にあたっては、体調のいいタイミングで登録やお試し利用を済ませておくと安心です。事前に使い方やサービス内容を把握しておけば、いざというときでもスムーズに活用できるでしょう。

頼れる外部サービスには、目的に応じていくつかの種類があります。

・家事や子どもの見守りをまとめて任せたいとき:「家事代行」や「ベビーシッター」
・子どもの預かりや送迎をお願いしたいとき:地域の援助会員が担う「ファミリーサポート」
・心身のケアや授乳・育児の相談をしたいとき:助産師などに相談できる「産後ケア事業」
・数時間だけ子どもを預けたいとき:保育園などで利用できる「一時預かり」

「ファミリーサポート」「産後ケア事業」「一時預かり」は、会社などに勤めていないママでも利用できる場合があります。

利用条件や料金は業者や自治体によって差がありますが、公費で利用できる制度もありますので、ぜひ一度チェックしてみてください。「自治体名+ファミサポ」「自治体名+産後ケア」「自治体名+一時預かり」で検索してみると、お住まいの市区町村の子育て情報を見つけやすいでしょう。まずは、お住まいの地域の子育て支援窓口に相談してみるなど、ご家庭にあった支援を見つけてみてくださいね。

参考:こども家庭庁「健やか親子21 産後ケア事業を利用したい方」
https://sukoyaka21.cfa.go.jp/sango-care/guide_01/

参考:こども家庭庁「ファミリー・サポート・センターのご案内」ファミリー・サポート・センターのご案内(リーフレット)PDFデータ
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e18b0699-53bd-4d02-bd42-f7ebb30c362b/6332207c/20231221_policies_kosodateshien_family-support_07.pdf

安心して育休復帰を迎えるための家事育児分担と準備

育休明けが近づくと、「今の育児だけでも大変なのに、さらに仕事が上乗せされるの?」という思いから、漠然とした不安を抱く方もいるでしょう。ですが、すべてを完璧に整えておく必要はありません。ここまで紹介してきた中で「これならできそう」と思えるものが一つでもあれば、事前に試してみることで復帰後の心強いお守りになるかもしれません。もちろん、こんな方法もあるんだと知っておくだけでも、いざというときの気持ちの余裕につながるでしょう。

入園1年目は、集団生活が始まることで感染症にかかりやすくなるといわれています。しかし、急な発熱やお迎えは、どこのご家庭でもよくあることです。「#8000」(子ども医療電話相談)の番号を夫婦でスマホに登録しておいたり、病児保育の登録を済ませておいたりすると、落ち着いて対応でき安心です。

保育園は、親が働く間に安心して子どもを預けられる場所です。そして保育士は、子どもに寄り添い、一緒に成長を見守ってくれる心強い味方でもあります。頼れる仕組みや周りの力を借りながら、焦らずに新しい生活に慣れていってくださいね。

育児・家事ライフハックにまつわるQ&A

育児や家事のライフハックにまつわる質問にお答えします。

Q1:時短家電や外部サービスは、予算的にすぐには利用が難しいです。お金をかけずに今すぐ実践できるライフハックはありますか?
A:たとえば本文でもご紹介した、赤ちゃんが寝ているタイミングで15分だけ目を閉じるパワーナップは、特別な準備もコストもかけずに試せる疲労回復法の一つです。また、洗濯物をたたまずハンガー掛けやボックス収納にする方法でも、毎日の名もなき家事をぐっと減らすことができます。さらに、スマホの共有カレンダーアプリなどを活用すると、予定や家事を夫婦で自然にシェアすることができ、お互いに声をかけ合いやすくなります。
Q2:便利グッズやレトルト食品に頼りすぎると、子どもへの愛情や、手づくりのあたたかみが薄れてしまう気がして罪悪感があります。
A:子どもにとって大切なのは、手の込んだ料理や完璧な家事よりも、ママやパパが心に余裕を持って、笑顔で向き合ってくれる時間です。便利グッズやレトルト食品に頼ることは決して手抜きではなく、家族の笑顔の時間をつくる工夫です。
Q3:レトルトの離乳食ばかりに頼ると、子どもの味覚の発達に影響しませんか?
A:市販の離乳食は、厚生労働省などの基準に合わせ、薄味や硬さ、栄養バランスに配慮してつくられています。毎日手づくりに追われて疲れてしまうくらいならば、レトルトの離乳食も上手に活用し、笑顔で「おいしいね」と食卓を囲む時間を大切にしてみてくださいね。
Q4:便利グッズやサービスを使うことに対し、親などから「手抜きに見える」「私たちの頃は…」と言われてモヤモヤします。
A:近年の天候を考えた場合、昔よりも厳しい暑さが続くなど、赤ちゃんやママの体への負担が増しています。また、共働き世帯の割合も増加し、家族の在り方や働き方も大きく変化しています。便利な道具やサービスを利用することは、今の時代、ママだけでなくパパも含めた家族みんなが笑顔で過ごすための工夫です。親御さんからの言葉にモヤっとするときも、無理に納得したり合わせたりする必要はありません。「昔とは環境や生活スタイルが違うんだな」と心の中で区切りをつけて、ご自分たちが一番ラクになる選択を優先してくださいね。

まとめ~無理をしないための賢い選択が、親子の笑顔につながる

この記事では、毎日の負担を減らすための便利な道具やサービス、ちょっとした家事の工夫などを紹介してきました。これらを取り入れることは、育児を手抜きすることではありません。上手に頼ることで時間に余裕ができ、心と体にもゆとりが生まれます。ママやパパの笑顔が増えることは、赤ちゃんにとってなによりも安心できることです。ご家庭に合わせたペースで、気軽に取り入れてみてくださいね。

監修してくれた先生

保田典子先生 保田典子

小児科 | 高円寺こどもクリニック院長
2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務等を経て現職。小児科専門医、こどもの心相談医。一般診療、小児循環器診療に加えて、起立性調節障害や発達相談、漢方治療にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。2026年4月、子どものための訪問看護ステーション(ここる訪問看護ステーション)をオープン。3児の母。

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